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床上浸水


 福岡市の東に多々良川という川がある。私は小学校の一時期、その川のすぐそばの小さなアパートで過ごした。隣にはまだ若い博多人形師がいた。のどかな田園風景が広がり、学校が終わると、目の前の川の土手に集まって、みんな日が暮れるまで遊んでいた。川が氾濫するたびに、フナが畑や田んぼの轍に迷い込み、捕まえては遊んだ。時々ロバが引くパン屋さんがやってくる。おじいさんが紙芝居をしてくれて、食い入るように見ていたのを思いだす。ある年、とんでもない台風がやってきた。学校へも行けず、外へも出られないまま、一睡もせずに夜を過ごした。台風が過ぎ去った後みるみるうちに多々良川の水かさが増し、堤防が決壊した。私たちのアパートは床上浸水した。博多人形師の部屋も水浸しになった。救助隊のボートに乗って救助されたが、なにせ子供である。ことの重大さがわかってない。その後、市に提供された大量のノートや鉛筆、筆箱、教科書、真新しいランドセルがとてもうれしかったのを覚えている。家も高台に引っ越した。昨今台風による被害が後を絶たない。年々ひどくなる一方である。科学者は地球温暖化のためと決定づけている。このことを理解できていない政治家が悪い。「将来を担う子供たちのために全身全霊を尽くします。」という歌い文句は聞き飽きた。グレタ・トウンベリさんの演説を国連で笑って見ていたトランプ氏は、地球が終わるころ、家族で月にでも移住するつもりなのか。


2019.11.22.練馬区 櫻田 二友
東京保険医新聞 2020年 新年号から

 

 

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