|| HOME || 診療のご案内 || ドクタープロフィール || 人間ドック・脳ドッグ || アレルギー専門外来 || ペインクリニック ||

|| 東京保険医新聞より || ドクターコラム || アレルギーQ&A || 新コロナウイルス || お知らせ || 地図 || Link ||

シックデイ


 糖尿病は血糖値が高い状態を言います。時々糖尿病だから尿に糖が出る病気と勘違いしている人がいますが、違います。また腎臓で再吸収障害のため尿糖がでる腎性糖尿は別の病気です。糖尿病で風邪や胃腸炎を起こすと、体内の血糖のコントロールがうまくいかず、急激に体調が変わることがあります。通常は体になんらかの炎症が起こるとそれに反応して血糖値は上がるようにできています。それは体の正常な防御反応ですが、逆に風邪や胃腸症状で下痢、嘔吐がつづき食事が満足に取れないときは熱や痛みによって、ストレスにかかわるホルモンが分泌されます。その影響で、血液中のブドウ糖を細胞に取り込む「インスリン」が足りない状態になります。インスリンが極端に足りなくなると高血糖になります。さらに、細胞に取り込まれる糖が足りなくなると、エネルギー不足を補うために脂肪が分解され、酸性の「ケトン体」が増えます、重症の場合「糖尿病性ケトアシドーシス」という状態になり、意識障害や昏睡に陥ることがあります。下痢、嘔吐で高血糖になり、脱水が進むと、「高浸透圧性高血糖症候群」という状態になり、やはり意識障害や昏睡に陥ることがあります。一方、食事がとれなくて、血糖が下がっている状態で、さらに血糖を下げる薬を使うと、血糖値が低くなりすぎて、同様の症状をひきおこすことがあります。薬の使い方によっては高血糖にも低血糖にもなります。特にT型糖尿病の人でインスリンを使用している人は要注意です。新型コロナ禍の中で糖尿病患者は特に日常生活に注意が必要です。「シックデイ」の対処方法を日本糖尿病学会が発表しています。基本は、1、安静と保湿につとめる 2.水やスープなどで十分に水分をとり、できるだけ炭水化物をとる。消化しやすいおかゆやうどんなど、食べられるものをたべる 3.インスリンは自己判断で中断しない 4.薬の量を調節する必要がある場合も 5.可能ならこまめに血糖値を自己測定する ことです。ただちに医師に連絡する必要があるケースは、1.発熱や消化器症状が強い 2.1日食事がとれない 3.血糖値が、1dlあたり350mg以上がつづく 4.意識状態に悪化が見られる ときです。糖尿病患者は新型コロナウイルスに感染すると重症化するリスクが高いと勘違いして報告されています。糖尿病だから感染しやすいということではありません。感染率は健常者も糖尿病患者も同じです。ただ、血糖のコントロールが悪いと重症化する率が高いということです。ウイルス感染を心配しすぎて、自粛生活が長くなり、健常者でも体重が増える人が多くなっています。糖尿病患者は、肥満は大敵です。1日1万歩を目標に日中に外を歩くことをお勧めします。特に食後がいいと思います。食後1〜2時間はインスリンの分泌量が増えます。気分的にも違います。会社勤めの人は、ちょっと遠いところに出かけて行って食事をし、30分から1時間程度歩くのがいいと思います。また、消化管は平滑筋でできています。じっとしていると動きが鈍くなってきます。歩いて振動を加えることです。振動で消化液の分泌は活発になります。よく、寝たきりのお年寄りが、整腸剤や下剤を服用する必要があるのは振動が足りないためです。家庭の主婦や一人暮らしの人は食後にじっとくつろぐのはよくありません。食後にすぐに食器の片づけを始めるだけで、適度な運動になります。わざわざ運動に出かける必要はありません。糖尿病だけでなく、生活習慣病一般に言えることですが、食事制限、運動習慣と構える必要はありません。日常生活で身近にできることがたくさんあります。人はいずれじっと横たわる運命にあります。それまで、十分に体と脳を動かして、人生を有意義に生きていくことが大切です。


2020.10.8. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

|| HOME || 診療のご案内 || ドクタープロフィール || 人間ドック・脳ドッグ || アレルギー専門外来 || ペインクリニック ||

|| 東京保険医新聞より || ドクターコラム || アレルギーQ&A || 新コロナウイルス || お知らせ || 地図 || Link ||

Copyright (C) HIKAWADAINAIKA CLINIC