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五臓六腑
中国医学(漢方)で内蔵の総称を、五臓(肝・心・脾・肺・腎)、六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)といいます。五臓は「気・血・水」などを貯蔵・生成する実質臓器で、六腑は飲食物を消化・排出する管腔臓器です。三焦は消化液の分泌や体液の循環など、全身の気・血・水の通り道を管理する臓器ですが、現代医学に対応する実態臓器はありません。私がこの話を始めたのは、これからの臨床医学の将来につながるからです。日本の死因で一番多いのはがん、心臓病、肺炎、脳卒中・・・の順です。がんの死亡数は高齢化も重なってだんだんふえて、40万人に迫ろうとしています。日本人のがんで一番多いのが、肺がん、大腸がん、胃がん、・・・の順です。これ以降は、女性は付属器がありますので、乳がん、子宮がんが続きます。男性はその代わり、肝がん、前立腺がんが続きます。がんの治療は、早期では外科手術、放射線治療、末期になるにしたがって、化学療法が主体となってきます。各国の健診事情にもよりますが、日本は肺がんの健診は胸部X線撮影、胃がんは5年ほど前から50歳以上に胃透視から胃カメラに移行しています。胃透視は4000円ほどでできるため、大企業の従業員全員が胃カメラをすると、相当な出費になり、保険組合が破綻してしまいます。しかし、世界の流れは胃カメラに移行しており、現在大学病院の医学部で胃透視は学生に教えていません。40歳代から以下の医師はほとんど勉強していないと思います、練馬区医師会検診センターも放射線技師が7人いましたが、現在1人しかいません。大腸がんは便潜血を調べます。この3大がんで死亡する人が、約30万人、早期発見で完治する人を含めれば40万人に近いでしょう。アメリカでは肺がんは胸部CT、胃がんは胃カメラ、大腸がんは大腸内視鏡を行います。したがって、アメリカで一番多いがんは、日本で一番少ないすい臓がんです。これはすい臓がんの健診がないからです。ヨーロッパ諸国もほぼ同様です。世界中で外科手術が減っています。それは、侵襲の少ない放射線治療に移行しているからです。ピンポイントで狙い撃ちすれば、ほぼ100%完治します。日本人にはまだ理解が及んでいないところがあって、早期がんは、やはり手術を好む人が多いようです。放射線治療ができるがんは「五臓」に限ります。それは動かないからで、ピンポイントで照射できるからです。ところが「六腑」は動きますので放射線治療の対象になりません。胃がんが肺がんを抜いたのが1997年ごろ、それ以降肺がんがトップでしたが、そのトップを大腸がんが抜こうとしています。私の施設でも大腸がんが増えていて、月に1人は必ずいます。健診で見つかった人はラッキーで、ESDや腹腔鏡で手術し、ほぼ完治します。問題は、この消化器外科専門医が圧倒的に少ないことにあります。日本全体のデータでは、食道、胃、結腸、膵臓などの高度な手術が年約12万件以上行われています(1施設につき年約150件)。それ以外にも消化管の穿孔、腸の壊死、腸閉塞、急性虫垂炎、胆嚢炎を始めとした腹部の救急疾患にも対応しています。消化器外科医は、現在約15,200人に対して15年後には約9、200人(39%減)まで落ち込み、約5、000人の医師が不足します。胃がん・大腸がんで2、3か月待ちの状態がやってくるかもしれません。最近では医師国家試験を通った医師の2割が、直美(すぐに美容外科に行くこと)・整形外科などに行きます。実際、大学病院の外科の看護師に聞いてみると、年に一人研修医が入局すればいいほうで、その時は皆で祝杯を挙げる、と言っていました。手術時間が10時間を超えるケースや、休日・夜間の救急呼び出しが頻発します。しかし、これが人命を救う医師になった本来の目標のはずです。保険医としては、自由診療で、お金持ちだけが手術を受けられる時代がこないように祈るしかありません。
2025.12.22. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友
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