睡眠時無呼吸症候群(SAS)
最近マスコミでも話題の睡眠時無呼吸症候群についてお話したいと思います。
もともと日本の潜在患者は200万人以上いるといわれております。日本で本格的に注目されて大学病院等で検査が始まったのがまだ15年くらい前で年間数えるくらいの学会発表しかありませんでした。私が始めて担当した患者はやはり15年くらい前で身長165cm、体重85Kgをこえる35歳の患者でした。会社で事務の仕事をしている人ですが、昼間仕事をしていて眠たくてしかたがない、仕事の能率があがらない、夜間のいびきが大きいと奥さんにいわれていました。ただそれだけでは病院には受診しません。日曜日にテレビを見ていて突然意識がなくなってしまい、救急車で大学病院の救命救急センターに運ばれてきたのです。運ばれたときにはもう意識も正常で応答もしっかりしていましたが、その間のことはなにひとつ覚えていないのです。特に尿失禁便失禁などありませんでした。入院してからいろいろな検査を行いました。頭部CT、心電図、心エコー、胸部レントゲン撮影、詳しい血液検査、精神科のカウンセリングなどなど。しかしどこにも異常が見当たらないのです。そこで、家族の話や本人の日常生活のことをくわしく聞いてみることにしました。そうすると、昼間に突然眠くなる。夜寝ていて息苦しくなっておきたことが何回もある、いびきが大きいなどの症状があることがわかりました。そこで私たちは、睡眠時に何か問題があるのではないかと終夜睡眠ポリグラフィーという検査を3日間にわたって行いました。これは睡眠中の腹部、胸郭の動き、鼻腔からの流速、心電図、脳波、血中酸素飽和度を同時に計るものです。ドクターはその間ずっと機器が外れないか見ているわけです。(いまではこんなことは在りません。)結果は睡眠中に数百回の無呼吸があり最大300秒もの無呼吸状態があるのがわかりました。これでは突然意識がなくなってもおかしくありません。
睡眠時無呼吸症候群(SASという)には閉塞型、中枢型、混合型と3種類ありますが8〜9割の患者さんが閉塞型で肥満、高血圧、高脂血症を合併しています。この患者さんは夜間にnasalCPAPという呼吸器を使用し、また半年の間にアルコールを控え15kgの減量を行うことにより、症状は軽快しました。
SASの症状は多彩で胸痛、ふらつき、めまいといった症状でくることもあります。そうすると、日中、病院で検査しても原因が見つからないなども当然起こりうるわけです。
もしも、いびきが大きい、仰向けで寝れない、肥満等こころあたりのあるかたは、受診してください。
2003.10.24 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友
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