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COPD(慢性閉塞性肺疾患)


 今日はCOPDについてお話ししたいと思います。COPDという聴きなれない病気は気管支の炎症、肺の弾性力低下で呼吸が慢性的に苦しくなる病気の総称です。慢性肺気腫、慢性気管支炎などがその代表例です。肺は空気の通り道である気管支とその先のブドウの房状のような形状をした肺胞で構成されています。生命活動に不可欠なガス交換がその役割で、肺胞に接する血液を介して酸素を体内に供給し、二酸化炭素を体外に排出しています。ところが慢性気管支炎の状態になると、気管支の壁の炎症のため、粘液状の分泌物が増えて内腔が狭くなります。また肺気腫の状態になると肺胞の壁が壊れて、肺の伸び縮みに必要な弾性が失われます。その結果、ガス交換が十分に行われなくなってしまうのです。
 日本のCOPD患者数は40歳以上の人口の10%、約650万人と推定されています。発症頻度は加齢に伴って高まり50歳代に比べ60歳代は2倍以上、70歳以上では3倍以上になります。年間死亡者数もこの20年で約2倍に増え、死亡原因の10位をしめるようになってきました。世界保険機関(WHO)では2020年に世界的な死亡原因の第3位になると予測しています。
 特に問題なのは、治療を受けている患者さんが25万人に満たないことです。症状が徐々に進行するため、自分では殆ど気が付きません。ただ、壊れた肺胞が元に戻ることがないので、必ずいつかその症状が現れてきます。したがって大切なのは早期診断、早期治療です。しかし初期段階では胸部レントゲン検査で異常が認められません。風邪でもないのに咳が出る、同年代の人と比べて息切れしやすい、などの症状がある人は肺機能検査、胸部CT検査が必要です。また今では24時間動脈血酸素飽和度を外来で測定することもできます。
 COPDの最大の危険因子はタバコです。発症する人の90%は喫煙者です。しかし全員が発症するのではなく、10%から20%が発症します。これはその人の遺伝因子、喫煙感受性によります。喫煙感受性のある人は同じようにタバコを吸っていても気管支に強い炎症がおき、肺胞破壊が速く進んでしまいます。したがって治療の大前提はタバコをやめることで、これ以上肺胞の破壊が進むのを食い止めることです。その上で呼吸をしやすくし、病気の進行を遅らせるためにβ2刺激薬という気管支拡張剤の吸入をします。病態によっては抗コリン薬やステロイド吸入が有効なこともあります。病気が進行し慢性的に呼吸不全、低酸素血症が続いている人は酸素濃縮器をつかった酸素を自宅で吸入する在宅酸素療法(HOT)が必要になります。肺高血圧症、肺性心への移行、肺の線維化をおさえるためで、これは保険診療の対象になっています。
 人間の肺機能は25歳前後がピークで加齢とともに徐々に衰えていきます。この時期の喫煙はCOPDにならないまでも、後の肺機能に重大な影響を及ぼします。いわば肺は使い切りの臓器といっていいと思います。くれぐれも肺を大切に。紙面がなくなりましたので、また次の機会にお話しします。


2004.2.16. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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