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橋本病


 今日は橋本病についてお話します。橋本病は自己免疫疾患で慢性甲状腺炎という甲状腺の病気です。甲状腺はのどぼとけの下に蝶々のような形をした臓器で気管支の前にあります。人間のホルモンを作る臓器のなかで一番大きなものです。甲状腺ホルモンは人間の代謝、発育に重要な働きをする臓器で、たとえば生まれた赤ちゃんに甲状腺ホルモンが足りなければ脳の発達障害、あるいは成長して情緒障害などの症状が出てきます。また妊娠に関して言えば妊娠しにくい、流産しやすいといったことも起こります。
 特に女性に多く、男女比は1対20くらいといわれています。日本人の30歳以上の女性の10%くらいに認められます。好発年齢は40歳から50歳ですが、20歳以下で発見されることもあります。よく更年期障害と診断され見過ごされている場合もあります。
 橋本病の病態は多彩で、冷え性、むくみ、疲れやすい、だるい、食欲不振、低体温、徐脈、意欲の低下、便秘、生理不順、脱毛、体重増加、片頭痛、皮膚の乾燥、不安、うつ状態、不眠、記憶力低下、自律神経失調症、などです。しかし、まったく無症状の患者さんも15%程度います。
1912年(大正元年)に九州大学医学部の橋本策(わたる)先生がドイツの医学雑誌に掲載したのが始まりです。
 橋本病はこの甲状腺にび慢性に腺腫を触れます。甲状腺エコーで見るとより確実です。しかし半分の人に腺腫が触れません。確定診断には甲状腺ホルモン(FT4,FT3)を測定するのはもちろんですが、脳下垂体の甲状腺刺激ホルモン(TSH)、サイログロブリン、抗サイログロブリン抗体(TgAb)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)を測定します。
 サイログロブリンは、甲状腺濾胞内で産生、分泌される分子量約66万の糖蛋白であり、甲状腺濾胞内コロイドの主要成分で、主な作用としては、甲状腺組織内での甲状腺ホルモンの産生、貯蔵および分泌です。甲状腺濾胞細胞のみで作られる臓器特異性の高いマーカーです。これを測定することにより甲状腺組織がどの程度破壊されているか知ることができます。
 TgAbはサイログロブリンに対する自己抗体の測定法であり、抗TPO抗体はペルオキシダーゼ抗原に対する抗体を検出する検査です。両方同時に測定する意味は、実際臨床の場で両方陽性の患者さんよりもどちらか一方が陽性の患者さんの方が多いからで、橋本病の診断にはどうしても両方を同時に測定するしかありません。(但し、保険ではどちらか一方しか認められておりません。)まれですが、エコー上、あるいは家族歴(橋本病は100%遺伝します。)から明らかに橋本病であってもTgAb、抗TPO抗体が陰性の場合があります。これは、自己抗体の産生を始めるきっかけ(妊娠、ストレス、その他身体に及ぼす有為な炎症等)がまだないと考えて良いと考えられます。実際高校生が学校の検診で白血球が低いといわれて外来に受診する。甲状腺にび慢性甲状腺腫がある、しかし自己抗体はない。経過を見ているうちに大学受験をひかえてなんとなく全身倦怠感がつづく、不眠、生理がとまる、等の症状がある、甲状腺ホルモンを測定すると甲状腺ホルモンFT3、FT4が低い、甲状腺自己抗体が陽性といったことはよくあります。その他の診断法としては、穿刺吸引細胞診があります。甲状腺組織にリンパ球が浸潤しリンパ濾胞の形成を認めればこれで確定します。
治療は甲状腺ホルモンが低下していれば、甲状腺末(チラージンS)を服用します。これは、冒頭にも述べたように妊娠中も継続します。ただ、甲状腺ホルモンが正常でもさまざまな症状が出てくる場合があります。これは、体内で慢性的に自己抗体を産生しているわけで、炎症がくすぶった状態です。この炎症のくすぶりが交感神経を緊張させるのです。この緊張をとくために安定剤、抗うつ薬、等を処方することもあります。当院でおこなっている星状神経節ブロックも有効です。
 日常生活で気を付けることは、ヨードの摂取を控えることです。最近免疫を高めるために、さまざまな栄養補助食品がでています。特に海藻類のメカブ、根昆布を採りすぎると甲状腺の機能が抑制され、機能低下をきたします。うがい薬の中にもヨードが含まれており毎食後使って機能低下を起こした例もあります。ただ、通常の範囲の海藻類を食べている場合は心配ありません。
 紙面がなくなってきましたので、また機会があったらお話します。


2004.8.10. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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