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新型コロナウイルス その27 ダブルバインド(二重拘束)


 7月24日、朝日新聞「天声人語」に掲載された言葉です。今、コロナ禍の中、人々は政治的ダブルバインドにさらされているようだ。安部首相は「医療体制もひっ迫してないので、緊急事態宣言を発する状況でない」と言うが、杏林大学病院の山口芳祐氏は「それは誤りだ」という。政府は観光事業で「Go To Travel」を促すが、都は不要不急の外出を控えるよう呼び掛けている。そうこうしているうちに、感染は東京に限らず広がり、新規感染者が全国で900人を超えた。矛盾は解消ではなく、拡大に向かっている。判断がすべて、こちらに丸投げされており、酷な話であるが、それでも自分で考え自衛するしかない、という内容です。精神病理学・臨床上の精神障害に「統合失調症」があります。自閉症状と認知障害を基礎疾患とする複数の脳代謝疾患群と考えられていますが、発症のメカニズムや根本原因はわかっていません。有病者は世界で2,100万人、患者の死亡率は一般人口より2.0〜2.5倍高く、生涯有病率は0.1〜1.8%です。日本には71万3千人の患者がいると推計されています。「ダブルバインド」説は、1956年にアメリカの文化人類学・精神医学者、グレゴリー・ベイトソンが発表しました。理論の内容は、1.2人以上の人の間で 2.繰り返し経験され 3.最初に否定的な命令=メッセージが出され 4.次にそれとは矛盾する第二の否定的な命令=メッセージが、異なる水準で出される 5.そして第三の命令はその矛盾する事態から逃げ出してはならないというものであり 6.ついにこのような矛盾した形世界が成立しているとして全体をみるようになるという状態をいいます。「天声人語」にもわかりやすく説明がありました。「私の命令に従うな」と、もしも命令されたら、どうすればいいのか、命令に従わないという命令を守ることが、すでに命令違反かも、親から「もっと大人になりなさい」と「子供らしくしなさい」を同時に言われた場合、どっさり仕事を課されているのに「残業せず早く帰れ」と会社から命じられる場合、矛盾の中でストレスばかり溜まってしまいます。ベイトソンは次のように述べています。親が子供に「おいで」と言っておきながら、いざ子供が近寄ってくると逆にどんとつきとばしてしまう。呼ばれてそれを無視すると怒られ、近寄って行っても拒絶される。子は次第にその矛盾から逃れられなくなり疑心暗鬼になり、家庭外に出てもそのような世界であると認識し別の他人に対しても同じように接してしまいます。そして、1.言葉に表されていない意味にばかり偏執する(妄想型) 2.言葉の文字通りの意味にしか反応しなくなる(破瓜型:はかがた) 3.コミュニケーションそのものから逃避する(緊張型) のような症状が現れるとしています。私が研修医の頃、医局に暗黙の了解がありました。1.何がおこっても、教授に呼ばれたらすぐにとんでいくこと 2.教授より先に帰ってはいけない 3.たとえその治療に疑問があっても絶対に指導医に逆らってはいけない 4.正月は毎年全員が教授の回診につく、などなど、まだ山崎 豊子の「白い巨塔」が放送されている時代でした。受け持った患者が急変し、心臓マッサージをしていた時、教授に呼ばれました。私は無視し、そのまま続けました。後から、こっぴどく指導医に叱られました。他にも仕事をいくつも同時に抱えていました。「ダブルバインド」ならぬ「トリプルバインド」です。ウイルスは通常、冬の乾燥した時期、弱った粘膜を狙ってくっつきます。こと、新型コロナウイルスには、どうもあてはまりません。本当に得体の知れないウイルスです。政府の言うことも、専門家の言うこともあてになりません。誰かのせいにするのではなく、「自分の感情を大切にして」このコロナ禍を乗り切るしかありません。


2020.7.26. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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