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新型コロナウイルス その29 ブースター(追加免疫)


 現在150種類を超えるワクチンの開発が世界中で行われています。その中にはすでに第3相試験に入ったものもあり、年末には供給できるとしているワクチン会社もあります。SARS‐CoV‐2に対する抗体は約3か月から半年も持たずに消失してしまいます。したがって、最低でもワクチンは2回打つ必要があります。これをブースター効果といい、抗体価が下がらないようにするためです。イタリアでは3月に感染爆発し、感染者が日に6000人、死者が1000人という状況が続きましたが、その後感染者数、死者数ともに減少し、今では感染者は200人以下、死者は10人台となっています。イギリスでも死者が一時、日に4000人を超えていましたが、今は数十人に減ってきています。アメリカやインド、ブラジルはいまだ終息の気配は見えませんが、いずれは同じ経過をとると考えられます。日本も同様でPCR検査拡大のおかげで、感染者数は拡大していますが、死者数は4月のような増加は見られません。英国紙ザ・テレグラフ電子版6月20日の記事で、新型コロナウイルスが猛威を振るったイタリアで患者の治療に当たったサン・マルティノ病院の感染症医、マテオ・バセッティ教授はウイルスが弱毒化しているのではないかと述べています。私はそうは思いません。ウイルスは弱毒化も強毒化もしていません。話は変わりますが、人がなぜアレルギーになるか、免疫と必然的にかかわる問題ですので、すこしお話したいと思います。生まれたときからウマやウシの世話をするアメリカのアーミッシュの人たちはアレルギーが極端に少ないことがわかっています。アレルギーは制御性T細胞(Tレグ細胞)の制御が効かなくなり、免疫の暴走が起こったために発症します。アーミッシュの人たちは小さい子供の頃からウマやウシの世話をし、電気を使わず、文明と距離をおいて生活しています。もともとTレグ細胞が他の地域の人よりも多いので、アレルギーになりにくいと考えられています。アレルギーを根治させるため、当院で免疫療法を行っています。アレルゲンとなるスギやダニ、ダストの抗原を少しずつ、体内に入れていって、3年後にはアレルギー症状をなくしてしまう方法です。出来上がった遮断抗体は一生消えることはありません。アレルゲンがIgE抗体とくっつかなくなるためです。日本では2人に1人が何らかのアレルギーを持っています。これは、あまりにも小さい頃からアレルゲン物質を子供から遠ざけたためです。イスラエルにはピーナッツアレルギーの子供はほとんどいません。もともと日本のように離乳食という考え方がないため、自然と小さい頃からアレルゲン物質を取り込んでいるためです。「新型コロナウイルス その6 集団免疫」、「新型コロナウイルス その23 子供」にも書きましたが、私の考えは変わっていません。ウイルスは人と人がすれ違っただけでは感染はしません。数百万個の飛沫をあびて、初めて感染の機会に直面します。たとえ感染したとしても、ほとんどの人が自然免疫で撃退してしまいます。そうでなければ、今の日本の現状を理解するのは不可能です。いま、「3蜜」を避け、「マスク」をし、「ソーシャルディスタンス」を保ち、「会話」を控え、お盆の帰省も制限されています。それでも、ウイルスが消えることはありません。いつでも感染の機会はあります。例えワクチンができたにしても、半年の効果もありません。私は子供がクラスターを作らないのは、SARS‐CoV‐2と交叉免疫性のあるウイルスの断片に常に暴露されている(ブースター効果)からだと思います。あまりにも「3蜜」を避けること、PCR検査でウイルスを排除することにこだわっていると、免疫・ウイルスの暴走を本当にくい止めることができなくなってしまうのではないかと危惧しています。


2020.8.4. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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