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新型コロナウイルス その31 無症状者から感染?


 現在、小児のワクチン予防接種は数十種類に及び、病気を未然に防ぐためにはとても大切な手段です。先日もWHOが世界の小児ポリオの根絶宣言を出しました。子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスとわかっていますが、日本では繰り返しワクチン接種後の後遺症の事例がテレビで報道され、自粛されています。胃がんの大半はヘリコバクター・ピロリ菌が原因です。地方の自治体では中学校2年生で尿素呼気試験などの検査をし、陽性ならば除菌をして将来の胃がんを未然に防ごうという試みがなされています。これが広がってくると近い将来、日本から胃がんの発生はなくなってくるでしょう。話は変わりますが、私が小学校の頃、インフルエンザなどのワクチンは学校医が学校に来て、次から次へと同じ注射器で生徒にワクチンを接種していました。日本人の100人に1〜3人がC型肝炎のキャリアーであるのはそのためです。慢性肝炎の約70%がC型肝炎で、約30年で「肝硬変」に、約40年で「肝がん」に進行します。日本の肝がんの原因の65%がC型肝炎です。私は幸いにC型肝炎に罹患しませんでしたが、医師として仕事を始めて以来、キャリアーを含めて、C型肝炎患者を診ない日はありません。それほどC型肝炎は国民病といえます。今までC型肝炎患者さんに刺した針を抜いた時、誤って自分の指に刺したことが3回あります。患者さんはC型肝炎で入院しているわけですから、いわゆる針刺し事故です。最初は一大事と思い、γグロブリンなどを投与してもらいました。その後、2回は放置です。それから30年以上はたっていると思いますが、私の血液にC型肝炎ウイルスは検出されていません。現在も、私が外来で診療している中にC型肝炎だけでなく、B型肝炎、梅毒、エイズのキャリアーの人がたくさんいます。夫婦も親子もいますが、これまで夫婦ともにキャリアー、親子ともにキャリアーの人はいません。私が今までの経験で学んだことは、ウイルスはその人が発症し、ウイルス量がある一定量を超えて初めで伝搬し、たとえ感染の機会にあったとしても大半は自然免疫が防いでくれるということです。これまで、いろいろな感染症を持っている人に上部・下部消化管内視鏡を行ってきましたが、私を含めてスタッフも感染はしていません。もちろんそれなりの感染防御処置や検査、消毒などをしていることもあります。政府や自治体はいまだにPCR検査で新型コロナウイルス陽性者を見つけ出し、症状があるなしにかかわらず、追跡調査をしています。コロナウイルスには現在SARSやMERS、風邪のウイルスを含め7種類のウイルスが見つかっています。風邪を引き起こすウイルスの約15%はコロナウイルスです。PCR検査はこの風邪ウイルスでも、遺伝子の断片が2塩基対でもあれば100万倍にして検出してしまいます。インフルエンザの患者さんの気道粘膜上には数億個のウイルスが存在しているはずです。わずか2個のよくわからないウイルス遺伝子の断片を増幅して「新型コロナウイルス感染症」と言っているようなものです。無症状の人にもコロナウイルスは存在します。それを見つけ出しても意味はありません。どんな病気でも症状が出た人をよく観察していると、いくつかの病気となる原因が頭に浮かんできます。病気の種類がある程度絞られてきたら、必要な検査を考えます。検査の方法もいろいろ考えますが、何でもかんでもするわけではありません。必要で最小限の検査をします。答えが出れば、それをうのみにせず臨床症状にあっているかどうか考察します。これが医学という科学です。現在の世の中はこれが逆になっています。結論が先にあって観察・検査・考察が後になっています。これではいつまでたっても収拾がつきません。


2020.8.21. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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