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新型コロナウイルス その37 なぜPCR検査なのか?


 新型コロナウイルスの遺伝子の配列が「Nature」に発表されたのが1月7日です。1月30日、「The New England journal of medicine」にドイツから「Transmission of 2019-nCoV Infection from an Asymptomatic Contact in Germany」という論文が発表になりました。この論文は世界中に衝撃を与えました。通常、感染症を起こすウイルスや細菌などの病原体は増殖速度が常在性のものより数万倍も速く、見つけるのも簡単なはずです。この論文ではまだ病原体が少なく、無症状の患者からも新型コロナウイルスが感染を起こすというものです。今、新型コロナウイルス感染症の診断や追跡調査にPCR検査が行われているのは、この論文がもとになっています。33歳の健康なドイツ人実業家が、1月24日に咽頭痛、悪寒、筋肉痛が出現、翌日、39.1℃の発熱がありました。しかし、その翌日には症状が改善し、1月27日には仕事に戻っています。症状が出る前の1月20日と21日にミュンヘン近郊の会社で中国上海の女性ビジネスパートナーと会議に出席しました。彼女は1月19日から22日の間にドイツを訪問していました。滞在中、何の症状もありませんでしたが、中国に戻るフライト中に発熱し、1月26日のPCR検査で陽性が確認されました。翌27日に彼女は病気のことを会社に報告しました。その後、連絡先トレースが開始されました。そのころ武漢では5万人を超える感染者と3869人の死者が報告され、1月23日に都市封鎖が行われました。この映像はメディアを通して世界中に放送され衝撃を与えました。最初のドイツ人実業家は症状が改善していたにも関わらず、ミュンヘンの感染症熱帯医学部門に送られました。そして1月29日のPCR検査で陽性が確認されました。この会社の会議に出席した他の社員も1月28日にPCR検査で陽性が確認されました。会議には出席しなかった社員で会議の後、最初の患者と2〜4回接触のあった社員2人もPCR検査で陽性が確認されました。都合4人の感染が確認されましたが、それぞれ海外渡航歴や既往歴はなく、重度な症状も確認されていません。この論文では新型コロナウイルスが短期間に潜伏し、無症状のまま非特異的に伝搬すること、またアジア以外で初めて伝搬したケースとしています。この論文が発表されて以後、PCR検査で無症状でも感染者をあぶりだす作業が全世界に広がっていきました。武漢市内の映像があまりにも衝撃的だったからです。今もインドや中南米で感染が拡大しています。新型コロナウイルスはRNAウイルスで数万種類の変異体が存在します。PCR検査はおよそ3万塩基対の遺伝子から、次世代シーケンス法を使ってDNAに逆転写し、ショットガンで取り出した300コピー程の断片の一部をプライマーとして使っています。どのような装置を使うか、どの遺伝子の断片をプライマーとして使うかはそれぞれの機関や検体を扱う人で違います。それを数百万倍に増幅して、最初に中国で発表された遺伝子とよく似たものを探します。タンザニアでパパイヤやマンゴー、ヤギやサルでも見つかりました。全ての動植物にコロナウイルスは常在しています。9月7日、イギリス・オックスフォード大学は死んだウイルスのかけらでPCR検査陽性が確認されたと報告しました。新型コロナウイルスという生きた病原体を見つけたと言う論文はいまだ存在しません。今見つかっているのは中国の論文の新型コロナウイルスに似た遺伝子の断片のごく一部です。日本ではすでにこのPCR検査に国、自治体含めて100兆円近い費用がかけられています。感染が終息しつつある国もありますが、世界的にはいまだ終息の気配が見えません。真実がよく分かりません。


2020.9.8. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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