新型コロナウイルス その41 キメラ遺伝子
2020年1月7日に「Nature」に掲載された中国の論文では、新型コロナウイルスの遺伝子配列が詳細に記載されています。今問題になっているのは、その決定過程です。既往歴のない41歳の男性が昨年12月20日に発熱し、呼吸困難、咳嗽、胸痛で26日に武漢中央病院に入院しました。胸部X線撮影、CT検査で両側肺野に間質性の陰影がありました。間質性肺炎には通常気管支鏡を使ってBALF(気管支肺胞洗浄)を行って原因を調べます。肺線維症が疑われれば、経皮的肺生検などを行いますが、38.4℃の発熱があったため、行われなかったと思われます。BALFは通常50ml程度の生理食塩水を使い、だいたい片方の中間気管支幹のB6あたりを使って行います。大事なことはその中の97〜98%以上が回収されなくてはいけません。これは、必ず検査過程で記録する必要があります。回収率が80%程度では意味がないからです。この論文にはそれが書いてありません。その後、処理をしますが、その過程も書いてありません。いきなり遺伝子の話が出てきます。BALFから、ただ単に200μmlを取ってきて遺伝子配列を決定しています。それが、以前中国のコウモリで発見されたSARS様コロナウイルス(ベタコロナウイルス属、サルベコウイルスの亜族)のグループに似ているというだけです。新型コロナウイルスとはどこにも書いていません。ただ、武漢市で昨年12月12日からこの時までにすでに、原因不明の肺炎患者が1,975例報告されていました。そこで、WHCVはこの遺伝子をあわててGenBankに登録(AY274119)しました。インフルエンザウイルス、クラミジア・ニューモニエ、マイコプラズマ・ニューモニエ、ヒトアデノウイルスはPCR検査で否定されています。その後、抗生物質、抗ウイルス薬、グルココルチコイド(副腎皮質ホルモン)等の組み合わせで治療が行われました。3日後には集中治療室、その3日後には他の病院に転院になっています。その後の経過は書かれていません。この論文の最大の問題点はウイルス本体が見つかっていない点です。もともと間質性肺炎の原因は80〜90%が特発性肺線維症、1〜2%が特発性気質化肺炎です。原因は不明で最大の「危険因子」はたばこです。この論文では喫煙歴も記されていません。肺胞上皮細胞(肺胞壁の構成細胞)の繰り返す炎症とその修復・治癒過程の異常が主たる病因・病態で何らかの遺伝子異常と考えられていますが、ウイルスが原因とは今まで考えられてきませんでした。2020年3月20日から4月18日の間、ドイツ、ハンブルク・エペンドルフ大学の法医学教室で、新型コロナウイルスで死亡したと考えられる(PCR検査陽性)80例が解剖されました。基礎疾患として85%に心大血管系の疾患があり、55%に肺疾患、34%に腎臓病、35%に中枢神経系の疾患がありました。また、38%に肥満が認められました。剖検例では肺胞隔壁周辺にリンパ球や好中球などの細胞浸潤と血栓・血管炎が認められました。直接死因の71%が肺胞性肺炎ですが、40%に肺動脈塞栓症が認められました。肺の間質に大量のウイルスが存在したとは書いてありません。一般の人は、よくメディアで出てくるコロナウイルスの映像を新型コロナウイルスと勘違いしています。これは新型でも何でもありません。数万種類に上る動植物に常在するコロナウイルスの典型的な形です。故意かどうかわかりませんが、メディアによる洗脳です。いずれにしても、中国で発表された論文で病原体の確認はできていません。それは論文も認めています。勝手にWHOが認定しただけです。認定された遺伝子は、様々なウイルスの断片がつながった「キメラ遺伝子」と考えられます。
2020.9.24. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友
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