新型コロナウイルス その42 ポツンと一軒家
今日の朝刊各紙でソフトバンクグループが9月24日、唾液を用いたPCR検査を1検体あたり2000円で請け負うことを発表しました。法人や自治体を対象とし、個人からは受け付けない方針です。無症状の感染者を見つけ出し、感染防止につなげたいとしています。海外などへ渡航する人は保険適応外ですから、費用は医療機関の10分の1ですみます。ただし、医師が関わらないので、陽性が出た場合は、医師の診断書が必要となり医療機関に受診する必要があります。年内に1万件に増やしたい意向です。アメリカの検査数は1日52万件、イギリスは30万件、日本は現在7万件です。日本が今まで少ないのは検査を医療機関のみに限定しているからです。イギリスはこのソフトバンクの取り組みを個人の自宅で全国民に無償で行っています。中国発と考えられている新型コロナウイルスはRNAウイルスです。RNAウイルスは変異が激しく、現在変異体は1万近くに達していると考えられます。RNAウイルスの遺伝子を逆転写酵素で、安定したDNAウイルスの遺伝子に変換します。そのアミノ酸塩基の数はおよそ3万塩基で断片は一番端にスパイクタンパクがあり、次にエンベロープタンパク、ヌクレオカプシドタンパクと続きます。このヌクレオカプシドタンパクのおよそ100塩基対を取り出して、間の遺伝子に熱を加えて繰り返し増幅していきます。およそ40サイクル回すと100万塩基になります。これが中国発の新型コロナウイルスの遺伝子配列とよく似ていれば陽性となります。しかし、プライマーとして取り出す塩基はおよそ100個のみ、300分の1です。PCR検査はもともとたくさんの塩基を増幅することは苦手です。せいぜい数十個から百個程度を増幅するようにできています。40サイクルも回せば特異度は増しますが、どんなものでも陽性にしてしまう危うさもあります。タンザニアのパパイヤやマンゴー、ヤギやサルでも陽性にでたのはそのためです。抗原検査はちょうどPCR検査で10サイクル回したぐらいと考えられます。臨床的にはこちらの方がむしろ正確かもしれません。PCR陽性率は日本では4%程度です。当院でも唾液によるPCR検査を行っていますが、保険内の人と保険外の人を別々に比べても、陽性率は変わりません。20人中1〜2人が陽性になります。肺炎患者は必ずPCR検査を行いますが、今まで陽性者はいません。患者さんに陽性の結果を伝えると、何で自分が陽性なのかとびっくりした様子です。逆に肺炎の人は何で自分は陰性なのかという表情です。とてもどこからかウイルスが伝搬してきたといった感じは臨床的にはありません。私には陽性者はただの風邪としか思えません。もともとPCR検査は遺伝子の300分の1しか見ていません。残りの300分の299の部分は調べていません。まして、各国によって取り出す塩基となるプライマーは違います。ヌクレオカプシドタンパクのどの部位を使うかも各国によって違います。遺伝子すべてを調べて同じというのならわかりますが、300分の1が一致したからといって遺伝子全体が一致するとは限りません。今、中国ではほとんど感染者が出ていません。1月23日の武漢封鎖、路上や病院の通路で倒れた人の姿、ベッドで人工呼吸器をつけて苦しんでいる姿がまるで悪夢のようです。疑ってもいいような気さえします。現在、中国ではCT検査で確認された肺炎患者にかぎりPCR検査をしています。したがって、ほとんど感染者は出ていません。テレビの「ポツンと一軒家」で番組スタッフが片っ端からPCR検査をしたら、おそらく陽性率は4%程度に収まると思われます。それがわかれば、マスクもソーシャルディスタンスも必要がないことが証明できます。私が費用を負担します。よろしくお願いします。
2020.9.25. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友
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