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新型コロナウイルス その51 マスクは本当に必要?


 私は1日中診察室にいるので、気分転換に昼の休み時間に1時間ほど石神井川沿いを散歩しています。途中に神社の公園や中央大学の陸上競技場、民間の運動場もあります。4月、5月、緊急事態宣言が出されたころは、人影はほとんどありませんでした。しかし今は、大学サッカーやラグビー、少年野球、高齢者のバードゴルフなどでいつもにぎわっています。ほとんど全員がマスクをしています。私は、肺気腫があるのでマスクを着けて歩くと呼吸困難になります。二酸化炭素がたまって意識がボーっとしてきます。そのため、マスクを着けないで歩いていると、最初は人の目が気になっていましたが、毎日同じ人と会うため、最近はマスクを着けないでも違和感なく歩けるようになりました。メディアで新型コロナウイルスにマスクが有効であると、毎日のように話しています。話しているニュースキャスターやそれに出てくる専門家がなぜマスクをしていないのか私には疑問ですが、広州医科大学と香港大学のWHOの協力機関が、これに関して4月15日、「Nature Medicine」(26 672−675 2020)に「Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID‐19」という論文を発表しました。COVID‐19に感染した一次感染者とその二次感染者のペアを77組作ります。それをグラフにして、潜伏期間と二次感染までの日数を検討し、感染力を予想します。潜伏日数は、およそ3日がピークでその後12日までゆるやかなカーブをとります。最大で32日と書いてあります。二次感染までの日数は5日がピークで、4日前から20日までと書いてあります。このグラフから予想感染力を積分すると、二次感染者はおよそ1日から2日前に感染した可能性が一番高いということがわかりました。そのために、マスクが必要というお話です。この話が世界中のメディアや専門家に誇張されて、拡散されていきました。しかし、このグラフには肝心のウイルス量が書いてありません。ウイルス量に関係なく、ほとんどが無症状か軽症者です。ただ、PCRで陽性になった人を集めただけです。縦軸に感染者の「%」が示してありますが、およそ5%〜10%です。わかりやすく言うと、77人のペアのうち、発症2日前からマスクをしていれば4〜8人は防げた可能性がある、と予想しているだけです。インフルエンザと比較して、ウイルス量はインフルエンザの100から10000分の1と書いてあります。これでは、感染源を自ら否定しているようなものです。この患者が本当にCOVID‐19で発症したのか、あるいはその他のインフルエンザやアデノウイルス、RSウイルス、細菌感染で発症したのかはわかりません。いずれにしてもこのグラフが独り歩きし、世界中の人が1年中マスクをするようになりました。ノーベル賞への登竜門となる科学論文ですから、その影響力は絶大です。感染して、発症した人がマスクをつけて、他の人に移すのを防ぐのはわかりますが、健康で毎日同じ道を歩いている人が、ある日を境に突然マスクを着けて歩くのは異様な光景です。健康でなければ、同じ道を毎日歩いたり、運動したりするはずがありません。具合が悪ければ、人に言われなくても、黙って家で養生しているはずです。公園で楽しそうに遊んでいる子供たちがマスクをしている姿はかわいそうで仕方ありません。社会の中で、悪いことをした人に対して法律家が審判を下します。この審判のほとんどが、一般の人が当たり前と考える常識の範囲内と思います。この当たり前と考えられない非常識な行為をした人が罰せられるはずです。過去に病原体のない感染症はありません。まして、健常者が感染源になるという科学的根拠もありません。私には、マスクの強要は犯罪行為にしか見えません。


2020.10.12. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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