新型コロナウイルス その58 日本学術会議
欧米各国にも科学者が政府に対して提言を行う学術機関があります。アメリカの学術機関「アメリカ科学アカデミー」は、南北戦争中の1963年、政府に対して科学や技術に関する専門的な助言を行う組織として当時のリンカーン大統領が法律に署名して設立されました。政府から独立した非営利組織で、連邦政府や議会などから依頼を受け、現在では「アメリカ工学アカデミー」と「アメリカ医学アカデミー」とともに、科学や技術に関する幅広い政策課題に関して、2019年には7000人以上の会員の科学者が無報酬で協力し、政策提言や助言を年間に数百件おこなっています。財源は、助成金や、助言を行った際に支払われる対価、寄付などで、年間、連邦政府から2億ドル(210億円)、民間から5500万ドル(58億円)近い収入があります。2900人の会員のうち、190人がノーベル賞受賞者で、世界各国の研究者が競って研究成果を発表する科学雑誌「アメリカ科学アカデミー」を発行するなど、世界有数の学術団体として国際的に認識されています。イギリスには世界で最も伝統のある学術機関「王立協会」があり、当時の国王、チャールズ2世から許可を得て、1660年に設立されました。1703年には「万有引力の法則」を発見したニュートンが会長を務めています。名称は「王立」となっていますが、民間の非政府組織として活動していて、最初のぺージに「私たちは、人類のために科学の発展に寄与する独立した科学アカデミーです」と記されています。1600人の会員のうち、70人がノーベル賞受賞者で、科学技術に関する政策提言を行っています、政府からの助成金や基金からの収入、寄付をあわせて年間135億円の収入があります。欧米各国の会員は終身制ですが、日本の学術会議は会員が210人、任期が6年、3年ごとに半数が入れ替わります。年間の予算はおよそ10億円で、欧米各国とくらべて大幅に少ない状況です。国立大学の人文科学系には1人、年間10万円の人もいます。これは日本の学術会議が国民に身近に感じられていないという面もあります。欧米では議会や政府に、積極的に働きかけたり、依頼を受けたりするなど、よい関係を持ちながら提言を行っていますが、日本学術会議の場合は「内閣総理大臣の所轄」となっていて、政府機関とされていることから、国会との関係が薄く、政治家が科学者の意見を広く聞く体制になっていません。今回政府が、学術会議が推薦した6人を任命しなかったことが問題になっています。安全保障問題や憲法問題にかかわる人が任命を拒否さていますが、欧米で起きれば当然これは裁判になります。あるいは、99人全員が就任を拒否すればいいと、私は思います。10月26日に臨時国会が始まり、野党が追及していますが、どうも迫力がありません。政府は法律に違反していないとの一点張りです。確かに、数年ごとにこまめに法律を改定していて、予防線を張っています。勝ち目はありません。今日、11月8日に予定されている東京・国立代々木競技場で開催が予定されている体操の国際大会に出場予定だった日本代表の内村航平選手がPCR陽性になりました。本人には何も自覚もありませんが、関係者全員を検査し、もしかしたら開催自体ができない可能性も出てきました。政府・自治体は、こんなことに100兆円もの予算をつぎ込んでいます。本日世界の感染者は1日50万人を超えました。PCRを世界中で1日1000万人しているのですから、当たり前です。日本学術会議は任命問題ばかりでなく、世界を混乱におとしめているPCRこそ辞めさせるべきです。すでに中止している中国だけが経済成長を遂げています。中国は最初からこれを狙っていたのかもしれません。
2020.10.28. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友
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