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アナフィラキシー


 今日はアレルギーでも致死的なアナフィラキシーについてお話します。症状としては全身の発赤、蕁麻疹、熱感、動悸、鼻閉、胸部絞扼感、悪心、口唇部のしびれ感、めまい、呼吸困難、喘鳴などがありますが、症状が重くなるに従って意識喪失、チアノ−ゼ、血圧低下、ショックになります。
 原因として有名なものはハチ毒によるアナフィラキシーがありますが、その他にも卵、牛乳、小麦、ソバ、ピーナッツなどの食物や抗生物質、下熱鎮痛剤などの薬物によるもの、天然ゴムによるラテックスアレルギー、運動後に出現する運動誘発アナフィラキシーなどがあります。
 アナフィラキシーの発症率は推計で10万人あたり5〜50人といわれていますが、実際の死亡者は毎年50〜60人報告されています。
 発症機序としては、ある特定の抗原に感作されると2回目の暴露時に過剰なIgE抗体産生がおき肥満細胞、好塩基球からさまざまなケミカルメディエイターが放出されます。これが気管支平滑筋の収縮や血管の透過性亢進を引き起こしアナフィラキシーとなります。
 下熱鎮痛剤や血液製剤などでIgEを介さないアナフィラキシー(正確にはアナフィラキシー様反応)もありますが、臨床症状や治療はまったく同じです。
 アナフィラキシーの検査法はスクラッチテスト、プリックテストなどの皮膚試験や実際に抗原を吸入したり食物負荷したりする誘発試験、血清特異的抗体IgEの測定、白血球ヒスタミン遊離試験などがあります。しかし臨床的には治療が優先するため、問診のみで診断が確定することのほうが多いです。
 治療は1分1秒を争うわけですから、まず0.1%エピネフリンの筋注を行います。これは交感神経のα、β受容体に作用し心拍数増加、心収縮力の増大、血管平滑筋の収縮、気管支平滑筋の拡張作用を目的とします。世界20カ国で20年以上にわたって自己注射剤として使用されてきましたが、日本でもやっと平成15年8月から認可になりました。今年から小児にも適応になりました。アナフィラキシー反応は進行性ですので、その後の治療は医療機関でおこないます。抗アレルギー剤、ステロイド剤、気管支拡張剤、β刺激剤、抗ヒスタミン薬などを用い、呼吸困難、意識喪失、血圧低下、ショックとなれば酸素吸入、呼吸管理等が必要になります。
 アレルギー外来でよく質問されるのは0.1%エピネフリンの筋注のタイミングです。
効能書きには1)初期症状が出現し、ショック症状が発現する前の時点。2)過去にアナフィラキシーを起こしたアレルゲンを誤って摂取し、明らかな異常症状を感じた時点。と記載してありますが、これはなかなか実行が難しい。 症状発現後30分以内に投与された例ではほとんど死亡例がないことを考えるとこの時間帯がデッドラインになりそうです。とにかく時期を逃さないのが大切でこれはよくドクターと相談されることをお勧めします。


2005.10.17. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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