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新型コロナウイルス その68 遺伝子組み換えワクチン


 いよいよ、アメリカのファイザー社が開発した遺伝子組み換えワクチンが承認され、イギリスでは12月7日から週80万回分を国民に接種することになりました。合計で4000万回分の供給を受けるということです。日本でも本日、国会でこのワクチンを6000万回分供給することで合意されました。国民には接種は「努力義務」としていますが、半強制的な意味合いがあります。もしも、ワクチンを打っていなければ会社や学校にいけないなどとなりかねません。国民の7割がこのワクチンに期待しているわけで、もしもこのワクチンを打っていなかったら差別扱いされる人が出てこないとも限りません。マスクをしてないだけでもレストランに入れないわけですから、十分ありえます。少し、このワクチンについて解説したいと思います。今まで先頭を走っていたのは、英アストラゼネカのチンパンジーのアデノウイルスを使ったウイルスワクチンです。アデノウイルスのDNAの一部を切り取りその間に、新型コロナウイルスの膜のスパイクタンパクの遺伝子の一部、RNAをDNAに置き換えたものを挟み込みます。ウイルスが細胞に侵入する仕組みをそのまま残していますので、ワクチンとしては最強です。ただ、横断性脊髄炎などの副作用が発生し、一時中断しました。その間にファイザーのmRNAワクチンが最初に認可されることになりました。いずれも遺伝子組み換えワクチンで、歴史上初めての経験です。もともと、mRNAを医薬品に活用するアイデアはアメリカのウィスコンシン大学のグループが1990年に論文で発表していました。当初は遺伝子治療の一環として研究されていました。新型コロナウイルスはRANウイルスです。遺伝子としてはとても不安定です。ウイルスワクチンと異なり、遺伝子を取り出してもそのままでは細胞に侵入する仕組みがありません。ウイルス遺伝子の両端を修飾してメッセンジャーの形を作ります。片方に炎症を起こす活性をもったRNAをアジュバントとしてつなぎ、ここだけを2本鎖にします。ただ、このままでは細胞に侵入する前に、すぐに分解されてしまいます。そのため、これをリボゾームのような膜で包み込みます。この形であれば、素早く細胞内でタンパク質に翻訳されます。ウイルスワクチンと同様の機能を備える形になっています。これをヒトの筋肉内に注入すると、そこで炎症が起こります。炎症が起こるということはそこに炎症性細胞(好中球、リンパ球、マクロファージ)などが集まってきます。筋肉内からはウイルスタンパクが放出されます。それをマクロファージが貪食し、リンパ球にその情報を伝えます。免疫応答が起こり、抗体が産生されます。免疫応答がどの程度持続するかわかりません。遺伝子組み換えをヒト自身が将来にわたって行っていくわけですから、どのような副反応が起こるか誰にもわかりません。日本人は遺伝子組み換え食品には非常に敏感です。食品には遺伝子組み換え食品ではありませんとわざわざ書かれていますが、それは基準値をクリアしているということであって、6〜7割の食品が何らかの遺伝子組み換えを行っています。これらのほとんどは消化されて、大腸で吸収されるので、人体に与える影響は非常に少ないと考えられます。いままで、日本の食材で重篤な副作用は報告されていません。mRNAワクチンは遺伝子組み換えウイルスRNAを直接、筋肉内から血管に放り込むわけで、将来にわたった副反応はだれにも想像できません。国はワクチン接種もその保証も無償でおこなうと言っていますが、おそらく口上だけでしょう。今のところ、やって見ないとわからない状況のようです。1492年にコロンブスが新大陸に到達し、その後大航海時代の先頭を走っていたスペインやポルトガルをイギリスが追い抜いていき、大植民地時代を迎えました。イギリスは常に先頭を走りたいのです。日本はどうするか、イギリスの結果次第です。来年春から接種が始まる予定です。


2020.12.2. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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