新型コロナウイルス　その７４　隔離社会

　台湾で１２月２２日におよそ８か月ぶりに３０代の女性が感染していることが確認されました。ニュージーランド人の男性パイロットと接触があったことがわかって、このパイロットには１１０万円の罰金が科されました。２人が行ったデパート名や行動履歴は全国民に公表されました。衛生当局は空港などの水際対策に力を入れるとともに、公共交通機関や商業施設などでのマスクの着用を罰則付きで義務化することにしました。ＰＣＲは、もともと中国が１月に発表した新型コロナウイルスの遺伝子３万塩基の１部、約８０塩基をとってきてプライマーとし、熱を上げ下げして４０サイクル程回して、ウイルスを１０〜１００億個に増幅して高感度で検出する方法です。症状を引き起こすほど多くのウイルス量があれば１０サイクルも回せば十分ですが、ただの常在性ウイルスでも４０サイクルも回せば、検出してしまいます。台湾の衛生福利部長は医師で、そのことは十分わかっています。８か月間感染者が出なかったのはＰＣＲを低感度で行っていたからです。現在日本では特別措置法が施行中ですが、罰則はありません。これを罰則付きにしようと政府が動いています。感染者が連日過去最多を更新しているからです。ニュースでも毎日トップで報道しています。キャスターが町の声を拾います。飲食店の店長は「これ以上制限されても同じです。全店舗休業にして、従わなければ罰則もやむを得ない。その代わり、給付金で保証してほしい。」、サラリーマン「会社には月に１度、勤務の報告にいくだけなので、どちらでもいい。」、若いＯＬ風の女性「これだけ増えてきたのだから国が罰則を設けるのも仕方がない。」、感染症疫学の専門家「このままなんの対策も講じないと新年を迎える頃には連日３０００人を超える感染者がでて、医療崩壊が加速する可能性が高い。」、・・・医師会長「すでに医療崩壊は始まっている。これは国の責任だ。即刻対策を講じる必要がある。」、アラート大好き知事「私には、都民を守る義務がある。政府には今すぐ、さらに一段上の対策をとってほしい。」、反対意見は全くありません。今すぐにでも台湾のように、一層の自粛を促し、罰則を容認するような意見ばかり拾っています。すでに、年末年始の航空機のキャンセルはこの１週間で２０万件を超えました。初詣での夜間運転は電車もバスも取りやめになりました。今年の婚姻届けは１５％減少し、来年の出生数は８０万人を割り込む予想です。早稲田大学は１１月２３日、総長名で全授業を来年以降もオンラインで続ける意向を学生に通知しました。パンデミックの歴史を紐解けば古代エジプトの天然痘にまでさかのぼります。紀元前４３０年の古代ギリシャ時代にアテネで謎の疫病が流行りました。１６５〜１８０年にはローマ、アントニヌスで麻疹が流行りました。１９５〜２２０年には中国、建安で腸チフス、５４１年に地中海でペスト、１３４７〜１３５２年はヨーロッパでペスト、１５１８〜１５６８年はメキシコで天然痘、麻疹、腸チフス、１５５６〜１５６０年はインフルエンザ、１７７５〜１７８２年は北アメリカで天然痘、１８１６〜１８２６年はアジアでコレラ、その後コレラは１８９０年代まで全世界で流行しました。１９１８年はスペインかぜ（Ｈ１Ｎ１インフルエンザ）、１９５７年はアジアかぜ（Ｈ２Ｎ２インフルエンザ）、１９６８年は香港かぜ（Ｈ３Ｎ２インフルエンザ）、その他にも、ポリオ（急性灰白髄炎）、風疹、ＡＩＤＳ、結核、マラリアなどがあります。その犠牲者の大多数が子供です。新型コロナウイルス感染症の犠牲者の平均年齢は８５歳前後で、その国の平均寿命を上回っている国もあります。これは「パンデミック」ではなく「プランデミック」です。ワクチンを開発した創業わずか１０年の米国ベンチャ―企業モデルナ社の時価総額はすでに５兆円を超えています。利権を得る人のためにワクチンを打っても、罰則を設けて「隔離社会」を作っても、ＰＣＲを続ける限りパンデミックは収まりません。

２０２０．１２．２４．　氷川台内科クリニック　院長　櫻田　二友