新型コロナウイルス　その７９　ワクチン接種

　新型コロナウイルスに対するワクチン接種が欧米に２カ月遅れで、本邦で始まります。政府は１月２０日、米製薬ファイザー社と約１億４４００万回分（約７２００万人分）の供給を受けることで正式に合意しました。２月１７日から医療従事者約４００万人を対象に接種が始まります。４月初旬から６５歳以上の高齢者約３６００万人を対象に接種します。その後、慢性の心臓、呼吸器、肝臓、血液、神経疾患などの基礎疾患のある人約８２０万人を対象に接種し、高齢者施設などの従事者約２００万人にも接種します。一般の人が接種するのはおそらく５〜６月以降になると思います。接種回数は２１日間隔を置いて２回です。−７５℃±１５℃で保管する必要があり、政府は２万台のディープフリーザーを用意します。その後はドライアイスで１０日間、冷蔵庫（２℃〜８℃）で最大５日間保存可能です。練馬区モデルを採用し、その後バイク便で各施設に配送する予定でしたが、振動が問題となり、軽トラックで運ぶことになりました。４月後半にはアストラゼネカのワクチン、５月後半にはモデルナのワクチンも承認されます。ファイザーのワクチンの予防効果が９５％と発表されていますが、これはインフルエンザの発症予防効果が５０％程度ですので、かなり高い数値です。しかし「１００人中９５人が防げる」ということではありません。ワクチンの治験には３６０００人が参加し、１８０００人に生理食塩水の偽薬、もう一方の１８０００人にワクチンを接種します。偽薬を接種した人のうち、１６２人が発症し、一方ワクチンを接種した人のうち８人が発症しました。したがって発症リスクは２０分の１で、「有効率９５％」となりました。「１００人接種したら９５人が発症を妨げる」ではなくて、正しくは「ワクチンを接種した時の発症率が、接種しなかった場合に比べて９５％少なかった。」ということです。国民の約半数３６０万人が接種したイスラエルでは、１月１２日保険機関がワクチンの予防効果について「有効率９３％と推定される」と公表しました。イスラエルでは感染者は１万人当たり１．５５人ですので、ワクチンを接種する意味はあります。イギリスはさらに多く１１．０４人で、ワクチンに頼らざるを得ない状況です。しかし、日本での感染者は１万人当たり０．５５人です。イスラエルでワクチンを打って予防した人よりも少ない状況です。はたしてワクチンを打つ意味があるのでしょうか。１０年程前に流行った鳥インフルエンザの時、２００人の高齢者がこの病気で亡くなりました。しかし、ワクチンを接種した若い１３３人が重篤な副作用で亡くなりました。ワクチンに副作用はつきものです。一番怖いのは、これまで使ったことのないワクチンだということです。ｍＲＮＡワクチンは遺伝子組み換えで作ったものです。おそらく新型コロナウイルスの遺伝子３万塩基の端のスパイクタンパクの一部分を組み替えて作ったもので、子供が折り紙をするのと同じで、簡単にできた副産物です。どこの部分をどう変えたのかは企業秘密です。局所反応や即時型アナフィラキシーばかりが報道されていますが、これはたいした問題ではありません。ヒトゲノムの３０億塩基対（約６０億塩基）の約半数がウイルス由来です。その６％がレトロウイルス由来で、１億６千万年前にレトロウイルスが哺乳類の祖先に「ＰＥＧ１０」を持ち込みました。このためヒトの祖先は胎盤を持つようになり、赤ちゃんを産むことができるようになりました。ゴリラに進化する霊長類では約３千万年前に「シンシチン１」を送り込んだことが分かっています。現在、「ＣＲＩＳＰＲ-Ｃａｓ９」で人為的にこういった操作が簡単にできるようになりました。遺伝子組み換えワクチンで、ヒトゲノムにどのような影響が出るのかは誰にも分かりません。ワクチンメーカーには副作用などの免責条項が盛り込まれており、責任は棚上げになっています。死亡例などの重篤な副作用情報は公表されていません。緊急使用のため、各国首脳がそれを認めているからです。

２０２１．２．１５．　氷川台内科クリニック　院長　櫻田　二友