新型コロナウイルス　その８０　歯ブラシ

　小さい頃からそうですが、私は体を清潔に保つ、手や顔を洗うという行為に対しては全く無頓着でした。小学生の頃、朝起きた時にはすでに両親とも仕事に出かけていましたから、卵かけご飯を弟と二人で食べて、学校に行っていました。食後に歯磨きはしますが、手や顔を洗う、うがいをするという行為をした記憶がありません。体は家に風呂がないので週に２、３回銭湯に行くだけです。大人になってからもそうで、結婚してからシャンプーを使って髪を洗うことを初めて知りました。それまで、体と同じように髪は石鹸で洗うものだと思っていました。診察中に、マスクをし、手の消毒をするのは変わりませんが、朝起きて手や顔を洗う、鏡で自分の顔を見るということもありません。駅でもホテルでも、今はどこに行ってもトイレに便器の消毒液が置いてありますが、私は使ったことがありません。インフルエンザやノロウイルスが流行っていても、不快さを感じません。食べ物に対してもあまり関心がありません。１日３度の食事以外に口に物を入れることはありません。飴やガムを噛みながら仕事をする人がいますが、私は真似できません。病気や事故を何度も起こし、手術台にはこれまで１４回乗りました。危ない目に合っても、そのたびに不思議な力で、現実に引き戻されました。感染症の患者も毎日のように診察しているのですから、私の体の中には他の人の数百倍のウイルスや細菌が潜んでいるはずです。実はこれが免疫を高めるということで、健康の秘訣であることが、一般の人には理解できないようです。政府はこれまでのコロナ禍を「戦争」に例えてきました。ウイルスは「敵」とみなされています。しかし、よく考えてみてください。実はウイルスが地球上に誕生したのは３０億年前で、ホモサピエンスはたかだか２０万年前です。人間は、ウイルスが存在していた世界に突然現れた新参者です。ヒトゲノムは約３０億塩基対（約６０憶塩基）で、ヒトの体の中にはその他のウイルスや細菌、真菌、原虫などが含まれており、その遺伝子は約８０憶塩基にもなります。ヒトゲノムの約半数はウイルス由来で、私たちの健康を維持するために重要な役割をしています。腸内細菌のバランスを整えて免疫機能を維持するのも、胎盤や胎児を守るのもウイルスが重要な役割を担っています。ヒトはウイルスと直接、間接的に関わることでこれまで存続してきました。人類が根絶したウイルスに天然痘がありますが、これはＤＮＡウイルスです。人から人にしか感染せず、ほとんど変異がありません。必ず発病するため、最後の一人の感染者まで徹底的に追跡できました。コロナウイルスは人畜共通感染症でＲＮＡウイルスです。地球上の動植物に数万と存在します。この１年間に数万回の変異を繰り返し、現在どういった形で存在しているのか追跡するのは不可能です。風邪のウイルスの約１５％は４種類ある旧型コロナウイルスです。新型はいずれ、旧型コロナウイルスになっていくものと思われます。世界はこのウイルスを根絶しようとワクチンや薬の開発を繰り返していますが、根絶するのは不可能です。どこかで折り合いをつける必要があります。問題はこれに莫大な利権が関わっていることです。根絶を声高に叫ぶ政治家や専門家の意見が毎日、テレビで報道されています。数日前ゴルフに行った時、洗面室に歯ブラシがありませんでした。そういえば、前日のテレビで歯磨きをする時の飛沫の拡散の様子をコンピューター「富岳」が解析していました。専門家は一体なにをしているのでしょうか。こんなつまらない研究をしないと研究費が下りないのでしょうか。これでゴルフ場やホテルに卸していた歯ブラシメーカーがまた一つ潰れます。多くの観光地や飲食店は閑古鳥が鳴いていて危機的状況ですが、製薬会社、ワクチンメーカー、主要メディア、政治家、官僚、感染症の専門家集団にとっては千載一隅のチャンスです。今や、以前の新宿歌舞伎町の賑わいです。

２０２１．２．２１．　氷川台内科クリニック　院長　櫻田　二友