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新型コロナウイルス その85 アナフィラキシー


 生まれたての赤ちゃんに抗体はありません。すぐに母乳を与える意味は母乳からIgA免疫グロブリンが赤ちゃんに移行するからです。これによって細菌やウイルスから最初に身を守ります。その後、IgD、IgM、IgGを産生し、半年もすれば外的から身を守る体制を整えます。最後にIgEが産生されますが、これは衛生状態の悪い時代、寄生虫から赤ちゃんを守るために役に立ちましたが、今はアレルギーの抗体として厄介者扱いになっています。IgE抗体は皮膚粘膜感作によって作られます。ピーナッツアレルギーなどの食物アレルギーも同じです。幼児期にピーナッツの成分が皮膚粘膜から入って感作が成立していないと、ピ−ナッツアレルギーにはなりません。最近、新型コロナウイルスに対するワクチンの副作用でアナフィラキシーが話題になっています。アレルギーには4つのタイプがあります。T型は即時型、一般にアレルギーと言われればこれを指します。アレルギー性鼻炎や花粉症、蕁麻疹、接触性皮膚炎などで、アナフィラキシーはこれの最も重篤な病態です。U型は薬剤などが関与する細胞障害型、V型は免疫複合型、いわゆるアルサス反応、W型はツベルクリン反応のような遅延型アレルギーです。それ以外にアスピリン過敏症などがあります。ワクチンで話題になっているのはT型のアレルギーによるアナフィラキシーです。日本で1年間にアナフィラキシーショックで亡くなる人は年間40〜50人です。この半分がスズメバチ等による蜂刺され事故です。しかし、生まれて初めて蜂に刺された人が蜂アレルギーによるアナフィラキシーを発症することはありません。何度か刺されるうちに蜂に対するIgE抗体が産生されます。これを感作といいます。感作を受けた人が、その後蜂に刺されると激しい抗原抗体反応を起こします。肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの炎症物質が大量に分泌され、喉頭浮腫、全身の血管拡張、気管支の収縮、血圧低下などを引き起こし、ショック状態となります。この直前にエピネフリンの注射をすれば、ショック状態を回避できますが、30分がタイムリミットです。この時間を過ぎれば死に至ることもあります。今回のワクチンで抗原になっているものは、ワクチンそのものではありません。前述したようにヒトは全く未知のものに対してアレルギー反応は起こしません。それも皮膚粘膜から感作をうけたものにのみアレルギー反応を起こします。ワクチンを筋肉内に注射する時、分解されないように脂質の膜で覆います。この膜に「ポリエチレングリコール(PEG)」が含まれています。PEGは身の周りにあるごくありふれた物質で、化粧品、歯磨き粉、洗剤、スキンケア製品、潤滑剤、医薬品等に多く含まれています。いつでも皮膚粘膜から入ってきますので、これに感作を受けた人がワクチンを注射すると激しい抗原抗体反応を起こしてしまいます。この反応が激しいとアナフィラキシーショックになり、エピネフリンの注射が必要です。30分以内にうった人で死亡例はありません。エピネフリンはワクチン接種会場や医療機関に常備しています。インフルエンザワクチンはインフルエンザウイルスを不活化して卵で増やします。卵アレルギーがあるので心配といった声をよく聞きます。しかし、過去に卵でアナフィラキシーなどの経験がなければ問題はありません。新型コロナウイルスのワクチンもPEGに感作を受けた人が過去にアナフィラキシーの既往がなければ問題はありません。問題はむしろ数年後に起こる遺伝子操作による副作用です。実証実験が世界で進行中です。


2021.3.31. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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