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新型コロナウイルス その87 プール方式


 1月中旬にWHOがPCRのCt値を45サイクルから30〜35サイクルに下げるように、世界各国の政府・検査機関に指示しました。その後、徐々にPCR陽性者は減少に転じました。季節的なものもあり、ウイルスは冬の寒く、乾燥した時期には変異が少なくなり感染力は増強します。逆にヒトの咽頭や気道粘膜は脆弱になり、感染しやすくなります。春になり気候が温暖になると、咽頭や気道粘膜は湿潤となり、自然免疫が活発になります。したがって、ウイルスや細菌感染は減少するのがこれまでの常識でした。ワクチン供給は世界で8億人の接種が済みました。このまま減少をつづけ、東京オリンピックもできるのではないかと期待されていましたが、3月に入り様子が怪しくなりました。再びPCR陽性者が増加に転じ、先日大阪府のPCR陽性者はとうとう1000人を超えました。インドでは1日20万人を超えました。自然科学では説明のできない現象です。日本はもともと感染者数も少なく、PCR検査数も世界各国に比べて少なかったため、国をあげてPCR検査拡充に乗り出しました。とはいっても、検査機関は限られます。そこで、1月22日、厚生労働省は一度に5人分をまとめて検査キットにいれてPCRをするプール方式を導入することにしました。検査数は一気に5倍になりますし、費用は単純に5分の1で済みます。ただし、この中で陽性判定が出れば、5人を一人ずつ検査しなおす必要があります。1月29日、広島では2月に大規模PCRを1か月に28万人行う予定でしたが、費用対効果で、2月9日、8000人規模に縮小することにしました。感染爆発した米国ニューヨーク州ではすでにこの方式が昨年8月から取り入れられています。数日ごとに、何度でも行うことができ、クラスターの発生を未然に防ぐためです。世田谷区は1〜3月に介護職員、1万5400人分をプール方式で検査しました。これに先立ち、昨年10月9日、東京大学先端科学技術研究センター・システム生物医学ラボラトリーが、「自動化4検体プール方式PCR検査についての実証研究報告」を出しています。下北沢商店街や劇場の関係者のボランティア検体とすでに陽性と判明している検体、計376検体を、自動分注機を用いて測定、検討しています。その結果、通常検査と比較して検査時間を半分、PCR検査費用を3分の1にできることが明らかになりました。手動と自動液体処理装置で比較検討しています。具体的には96ウェルプレートのそれぞれに検体5μlを入れ、90℃で5分間インキュベート後、RT-PCR反応液を添加・混合した後、PCR装置で42℃、10分及び95℃で1分間インキュベートした後、95℃・5秒及び60℃・30秒のサイクルを45サイクル実施しています。陽性判定はCy5、ROX、およびFAM蛍光フィルターによる増幅曲線(Ct価)から判定しています。Cy5の増幅曲線の立ち上がりが40サイクル以内で、かつROXの増幅曲線が45サイクルの場合、ヌクレオカプシド遺伝子のN1領域が陽性、FAMの増幅曲線が45サイクル以内の場合N2領域が陽性と判定します。その結果鼻咽頭ぬぐい液で、12/12、唾液検体で12/12の陽性率は100%、擬陽性(0/70)は認められなかった、としています。ただし、この結果を出すためには通常のCt値を上げる必要がある。もしも、上げないのであれば、高感度PCRプレートを使う必要があると考察しています。国立感染研は現在Ct値を35と設定していますので、現在の感染者数の増加は「プール方式」で使う超高感度PCRプレートが原因です。プール方式に対する企業努力は、政府の後押しもあり、すさまじい進化を遂げています。島津製作所は4月から月10万検体を扱い、1年後には100万に増やす計画です。これでは無症状のPCR陽性者がますます増えるばかりです。何のためにCt値を下げたかわかりません。私には故意に感染者数を増やしているようにしか思えません。


2021.4.14. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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