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新型コロナウイルス その88 誤算


 2019年11月に武漢で発生した新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界に広がり、5月13日現在、感染者数は1億6000万人を超え、死者数は333万人と報告されています。ワクチン接種は世界で15億回を数え、アメリカでは感染者が2割にまで減少したと報告されました。インドではいまだに毎日、30万人を超える感染者と4000人を超える死者を出していますが、少しずつ減少しています。日本では累計感染者数は70万人を超え、死者数は12000人を超えました。ワクチン接種は医療従事者や高齢者を中心にすでに550万回に及んでいます。この1年半の間、世界の都市は何度もロックダウンを余儀なくされ、実体経済の落ち込みは過去最低を記録しました。日本でもソーシャルディスタンスをとる、3密を避ける、マスク、自粛と戦時下でもないような状況下に追いこまれました。2019年10月18日、NewYorkで「EVENT201」という研究会が開かれました。主催したのはジョンズ・ホプキンス大学、世界経済フォーラム、ビル&メリンダ・ゲイツ財団です。奇妙なことに、この1年半、世界はこの時議論され、予想された通りに進行しています。発生源こそ違え、新型コロナウイルスによるパンデミックが世界の政治、経済に未曾有のダメージを与え、最終的にはワクチンがこの危機を救うというシナリオです。誰が描いたシナリオか分かりませんが、2019年11月からのパンデミックの経過を見事に予想しています。最近ワクチンを接種した人が新型コロナに感染する例が世界中で報告されています。有効率が95%と報告されていましたから、不思議に思う人もいるかもしれません。この問題を理解するにはワクチン側からと、PCR側の両側面から考える必要があります。もともとmRNAは細胞の核にあるヒトゲノムの情報を小胞体のタンパク質合成に伝えるだけの役割しかありません。役目を終えたmRNAは不安定ですぐに分解されます。mRNAワクチンはこのmRNAをウイルスのスパイクタンパク質の遺伝子とヒトの遺伝子を使い安定した形に組み替えたものです。ワクチンはウイルスのスパイクタンパク質の約3000塩基を使いメッセンジャーの形に修飾して細胞内に入れます。断端にpolyAというタンパク質がありますが、これを2本鎖RNAにしてアジュバンドとして使います。これをそのまま筋肉内に注射してもすぐに分解されてしまいます。そこでmRNA全体をリボゾームのようなハイドロジェルで包みます。ハイドロジェルはエンドソームとしてごく一部が細胞内の小胞体に到達し、タンパク質に翻訳されます。炎症が起こると炎症性細胞やマクロファージが集まってきます。細胞から放出されたエクソソームやアジュバンドpolyAなどのタンパク質を貪食したマクロファージがT細胞やB細胞に情報を伝えます。T細胞は細胞性免疫を誘導し、B細胞は抗体産生細胞となって抗体を作ります。ただし、リンパ球のT細胞やB細胞内で合成されたタンパク質の遺伝子がヒトゲノムに逆転写されることも起こりえます。逆転写された遺伝子は容易に分解されないように仕組んであります。これが将来、人体にどのような影響を及ぼすのかは誰にもわかりません。PCRの側から考えると、PCRにはプライマーとして20塩基、2本を使います。3個の塩基で1つのコドンを作ります。これが1つのアミノ酸に相当します。40塩基は13アミノ酸に相当します。コドンには64通りがあり、これが20アミノ酸に相当します。したがって、3の13乗個=159万個の同義置換体があることになります。mRNAワクチンはウイルス遺伝子のスパイクタンパク質の約3000塩基を使用しています。したがってPCRが反応する遺伝子多型は天文学的な数になります。PCRを使い続けるかぎり、陽性者がいなくなることはありません。「EVENT201」はここまで予想していませんでした。シナリオではワクチン接種でパンデミックは終了となるはずでしたが、唯一これが「誤算」となりました。


2021.5.21. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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