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新型コロナウイルス その94 デルタ株(インド型)


 ウイルスは、タンパク質の外殻、内部に遺伝子(DNA、RNA)を持っただけの単純な構造の微生物です。細菌のように栄養を接種してエネルギーを生産するような生命活動はしません。たとえ栄養や水があったとしても、ウイルス単独では生存できません。自分自身で増殖する能力が無く、生きた細胞の中でしか増殖できません。他の生物を利用して自己を複製することのみで増殖します。その過程で「変異」を繰り返し、より環境に適応しやすいよう姿を変えていきます。まず、ウイルス表面にある、トゲ状のスパイクタンパク質が、ヒトの細胞表面のACE2受容体に結合して、細胞内に侵入します。細胞内では、RNAの情報に従って、ウイルスの素材となるタンパク質を翻訳(合成)します。一方、RNAは大量に複製され、タンパク質とともに組み立て・成熟が進んで「子孫ウイルス」ができ、それらが細胞外に放出されます。この過程で、RNA複製の際に一定の確率でミスが生じ、RNAを構成する塩基の配列が変わることがあります。この現象を「変異」と言います。米疾病対策センター(CDC)は、7月30日、マサチューセッツ州バーンスタブル郡で7月初旬に発生したクラスターを分析した結果を発表しました。分析対象となった感染者469人のうち、74%(346人)が、ワクチン接種を終えた人でした。その9割がデルタ株と報告しています。デルタ株は130超の世界の国・地域に拡大し、米ジョンズ・ホプキンス大学のまとめによると、世界の1日当たりの新規感染者は29日だけで58万人。1週間前と比べて1割増加し、1か月前と比べて5割増加しています。新規死亡者数は9000人でした。世界保健機関(WHO)は過去4週間の感染者数が平均で80%増加し、その94.8%をデルタ株が占めたと報告しています。当院でも最近2カ月でPCR陽性者が増えていますが、そのほとんどがデルタ株です。ヒトの体は20個のアミノ酸でできています。デルタ株はヒトの細胞にくっつく重要な「突起」のタンパク質の端から452番目のアミノ酸がL(ロイシン)からR(アルギニン)に変わっており、「L452R」と表記されます。これを検出するのにPCRを使用します。この時、最初に452番目のアミノ酸の設定を決めておきます。RNAヌクレオチドの塩基(コドン)には、A(アデニン)、C(シトシン)、G(グアニン)、U(ウラシル)の4種類があります。CUU,CUC、CUA、CUGは3番目のコドンが違うだけの同義置換体で、すべて「ロイシン」です。CGU、CGC、CGA、CGGは同様にすべて「アルギニン」です。PCR検査にはプライマーとして、20塩基(6アミノ酸)を使用します。相補的アミノ酸20塩基(6アミノ酸)、合わせて40塩基を使用します。したがってプライマーと結合するアミノ酸は3の12乗個=159万種類になります。PCRを最初から452番目の「L(ロイシン)」を「R(アルギニン)」に変更して設定しておけば、159万通りの可能性が考えられます。PCR検査は検査の設定を変えれば、なんでも陽性にしてしまいます。米マサチューセッツ州のブレークスルー感染では74%の人がmRNAワクチン接種を受けていました。mRNAワクチンの中には新型コロナウイルスのRNAそのものが修飾されて含まれています。新型コロナウイルスの検出を目的に、最初からPCRを設定しておけば容易に検出することができます。最近、その他の変異株「N501Y」(イギリス型)や「E484K」(南アフリカ型)が話題に上らないのは、PCRの最初の設定が違うからです。このことは、PCRの生みの親、キャリー・マリスが生前何度も講演で述べています。現在でもYouTubeで見ることができます。専門家がわかっていないとはとても思えませんが、どうしてこういう事態を招いてしまっているのか、とても不可解です。誰かが意図的に行っているとしか思えません。PCRを続ける限り、このパンデミックは終息しません。CDCがクラスターを分析して、デルタ株を報告する意味は全くありません。


2021.7.31. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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