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新型コロナウイルス その102 医療崩壊


 肺はお寺の梵鐘のように両側肺尖部から釣り下がっています。そのままでは、しぼんでしまうので風船を膨らませるように、−20cmH2Oの陰圧で空気を吸い込みます。そうすることによって肺は膨らんだ状態を維持しています。吐くときは+20cmH2Oの圧で吐き出します。これを1分間に15〜20回程度繰り返しています。ヒトがこれを痛みもなく自然に行っているのは肺が胸水でおおわれているからです。壁側胸膜と臓側胸膜との間に10〜20mlの胸水があります。これが車でいうエンジンオイルの役目を果たしていています。肺の中に数センチの孤立性の肺癌があっても痛くないのは、肺に痛みを感じる神経が通ってないからです。もしこの肺癌が胸膜にまで達すれば、肺を外側から包む壁側胸膜の肋骨の下を走っている肋間神経を刺激して痛みを感じます。これを胸膜転移といいます。こうなった状態で病院に受診した人は、ほとんどが、他にも脊椎や脳に遠隔転移しています。比較的若い50歳前後の男性に多く、仕事が忙しく健診に行く暇がなかったという場合が圧倒的に多いような気がします。先日60歳前後の女性で右の胸痛と呼吸困難で受診した患者がいました。SpO2(動脈血酸素飽和度)が85%と低下し、胸部X腺撮影で右の肺が完全にしぼんでいました(完全虚脱)。原因で一番多いのは気腫性嚢胞ですが、完全虚脱してしまってはわかりません。肺尖部の嚢胞に穴が開き、肺がしぼんでしまったと思われます。医学用語では気胸といいます。放っておくと皮下気腫や縦隔気腫を起こし、急性呼吸不全に陥ります。現在では胸腔鏡を使ってブラ(嚢胞)を修復するのが一般的ですが、時間の余裕はありません。私は近くの総合病院に紹介しましたが、PCRが陽性でした。そこではオペができないということで、都内の病院を10か所以上あたったが、受け入れ先がまだないという連絡をもらいました。昨日、栃木県の男性が大動脈解離で救急隊が駆け付けましたが、46か所の病院に断られ、9時間後に都内の病院に運ばれた、と報道がありました。連日テレビでもネットでもコロナ発生状況が報告されています。昨日の新規感染者数は87,723人、重症者数は前日比+13人、死亡者は+211人でした。これを見ておかしいと思わなければなりません。コロナ患者は重症化して肺炎で亡くなります。ECMO(体外式膜型人工肺)の救命率は70%を超えます。報告される死亡者が211人ではつじつまが合いません。本当のコロナ死が2〜3人いるとしても、211人のほとんどがコロナ死ではなくて、他の病気で亡くなっているということになります。病気や事故で亡くなった人にPCR検査をすると数%程度陽性になります。これを毎日カウントしてテレビで報告しています。専門家はとうに気が付いていると思いますが、本当のことは言いません。もともとは2020年3月に出されたWHOの指針によるものですが、おそらくコロナがなくなってしまうと困るのでしょう。病院もコロナ患者を診ると、多額の補助金が手に入ります。連日コロナ病棟がひっ迫している映像がテレビで流れていますが、毎年がん、心臓病、脳卒中などで亡くなる140万人の行き場がなくなっています。2020年のがん検診受診率は前年度比30%減です。その後、例えば胃がんの進行がんが8,900人見つかりました。PCR検査によって助かる命が失われてしまっています。これが本当の医療崩壊です。

 


2022.2.19. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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