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新型コロナウイルス その105 食道カンジダ症


 人の体の表面や管腔(消化管)には、合計1,000兆個を超える微生物が集団で生息しています。その数は、人の体を構成する細胞の数60兆個をはるかに超えています。これら細菌の集団を細菌の草むら=細菌叢(フローラ)と呼んでいます。主に、口腔フローラ、皮膚フローラ、腸内フローラからできています。この中で一番種類が多いのが口腔フローラで500〜700種類あります。歯面、歯周ポケット、唾液、舌表面、頬粘膜に集団を形成しています。高齢者の誤嚥性肺炎がよく話題になりますが、この原因は誤嚥をきっかけに口腔内常在菌が気管支に入ることにより起こります。決して誤嚥性肺炎菌という菌がいるわけではありません。最近、臨床で気なる症状の人が増えています。風邪のような全身倦怠感はないが、妙に咳や痰が出る、のどがイガイガする、ゲップが出る、胸部絞扼感がある、人目が気になるので、咳が出るとマスクをするが、余計に咳がひどくなる。咳止めを飲んでもよくならない。通常は咳が続けば呼吸器科、胸痛が気になれば循環器科、ゲップがでれば胃腸科に受診します。しかし、原因がわからず当院に受診する人が増えています。最近の胃十二指腸内視鏡は径が細く、鼻から入れます。よく鼻が細くなかなか入らないという人がいますが、鼻中隔はたいていどちらかに曲がっています。左右にルートが2か所ずつあり、計4か所あります。したがって、必ず入るところがあります。鼻腔、下咽頭、喉頭蓋、舌表面、気管支入口部、食道、胃、十二指腸と丁寧に見ることができます。口腔カンジダや食道カンジダは真菌(カビ)の一種で通常症状が出ることはありません。ところが、最近、症状の出る人が増えています。年間数えるほどしかいなかった食道カンジダ症もここ1〜2年で増えてきました。食道カンジダ症の分類にはKodsiらの重症度分類GradeTからWまでありますが、最近UやVが増えてきました。2mm以上の白苔が多数散在し、粘膜の充血、浮腫、中には潰瘍を伴う人もいます。口腔フローラは液性免疫を担当します。外から入ってきた細菌やウイルスと共存しながら、細菌叢を形成しています。また腸内細菌叢とも緊密にバランスを保ちながらヒトの免疫を維持しています。エイズ患者の5人に1人が食道カンジダ症を発症するのは、後天的に免疫不全が起こっているからです。他にもあります。サージカルマスクです。サージカルマスクの穴の大きさはウイルスの約50倍です。マスクの穴が1万個あれば、50万個のウイルスが容易に出入りできることになります。これでは何の意味もありません。赤ん坊は人の顔の表情を見ながら成長していきます。半分隠れた顔をみながら精神的に健全な成長は望めません。私もリモートで診察室や自宅から会議や学会に出席していますが、まったく一方通行で、笑い声で相手の顔の表情を想像するといった感じです。マスクは感染予防に必要と専門家は説明していますが、当院でPCR陽性になった172人は全員マスクをしていました。それよりも、外界と断絶することによってストレスが溜まります。これが正常な免疫機能を壊してしまいます。これから増えてくる疾患は食道カンジダ症ばかりではありません。アレルギー、がん、自己免疫疾患、心臓病、心身症、精神疾患など数え上げたらきりがありません。マスクは百害有って一利なしです。

 


2022.5.15. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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