新型コロナウイルス　その１１３　パンデミック条約

　次の世界的な感染症の流行（パンデミック）に備えて議論してきた「パンデミック条約」について、世界保健機関（ＷＨＯ）は６月１日の年次総会で、最長１年の議論の延長を決めました。これは先進国と途上国との意見の対立が収束しなかったためです。同条約は元々２０２１年３月に２５か国共同で提唱されました。最大の論点は、ワクチンや薬といった命と健康を守る手段を、世界規模でどう公平に分かち合うかという点でした。私はすでにある国際ルールで十分と思いますが、ＷＨＯはコロナ禍で浮上したよりさらに広汎な問題に対処するために、別のルールを作るというのが建前です。国際通貨基金（ＩＭＦ）のグオルギエワ専務理事は６月２０日、新型コロナウイルスのパンデミックによる世界経済の損失について、２０２４年までに１２兆５０００億ドルを超えると指摘しています。逆に言えばそれだけ利益を得た人たちがいるということです。政治経済学者、製薬会社、研究者と同様、ＷＨＯも同じです。コロナ禍がなくなってしまえば、それで利益を得ていた数々の研究団体、経済学者、自治体、科学者は収入がなくなってしまいます。パンデミック条約でそれを何とか補おうという魂胆です。関東大震災の後、数百年に一度来るか来ないかわからない大津波のために、大金を投じて海沿いに５メートルの塀を数十キロにわたって作るのと同じです。感染症分類は重症度の高い順に１〜５類あって、古代エジプトのミイラに凍瘡の跡が見つかっています。凍瘡は１類感染症で、他にエボラ出血熱、ペスト、マールブルグ熱、ラッサ熱などがあります。２類には結核、ジフテリア、鳥インフルエンザ、中東呼吸器症候群（ＭＥＲＳ）、３類にはコレラ、赤痢、チフス、腸管出血性大腸菌感染症、４類には黄熱病、オウム病、回帰熱、Ｑ熱、狂犬病、デング熱、日本脳炎、５類には、アメーバ赤痢、インフルエンザ、梅毒、破傷風、百日咳、風疹、麻疹などがあります。これらの重要な感染症分類は不変で、分類が変わったりすることはありません。もともと、新型コロナウイルスは２類に分類されていましたが、令和５年８月８日から、突然５類に分類になりました。テレビで専門家の言うことを聞いていると、フムフムと、なんとなく納得してしまいますが、これまで分類がかわった感染症などなく、重症度がかわったりすることもありません。このことは、新型コロナウイルス感染症がもともと２類ではない、あるいは分類に属さないということを示しています。前回のパンデミックは１９１８年のスペインかぜです。これはＨ１Ｎ１インフルエンザで、病原体もはっきりしています。新型コロナウイルス感染症は病原体も分からず、収束してしまいました。パンデミック条約について、ＳＮＳなどで、ワクチンの強制接種が進む、国家の主権や基本的人権が失われるなど、様々な情報が広がっています。専門家は全くの誤情報としてかたづけていますが、誤情報が広がれば広がるほど、パンデミック条約という言葉が広がり、認知されていきます。世界で日本だけが、毎年コロナワクチンを接種することになっていることもうなずけます。パンデミック条約の中身を見てみると、なるほどと思われるものばかりですが、今現在、どうしても必要とはとても思えません。今回のパンデミックの原因には、純粋に自然科学では説明できないことが山ほどあります。１９７０年台のオイルショックのウソがばれるまで３０年かかりました。地球温暖化・脱炭素のウソがばれるまでは、もっとかかるでしょう。新型コロナウイルス感染症の真実は、うやむやにされたまま終わる可能性があります。したがって、パンデミック条約は少なくとも今後数十年かけて検討する必要があります。今、どうしても検討が必要なものは、ウクライナとロシアの戦争、ガザとイスラエルの問題、地球温暖化・脱炭素政策です。これらは、今年１１月のアメリカの大統領選挙に大きくかかわってきます。国連もＷＨＯも問題の優先順位を間違えています。

２０２４．６．２６．　氷川台内科クリニック　院長　櫻田　二友