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ノロウイルス


今日は近年になく猛威をふるっているノロウイルスについてお話します。毎年年末にきまって流行しますが、おそらく遺伝子の一部が変異したために大流行につながったのではないかと考えられています。
 ノロウイルスは1968年に米国オハイオ州の小学校で集団発生した胃腸炎の患者から発見されました。電子顕微鏡下で糞便中に小型球形ウイルス(Small Round−Structured Virus,SRSV)として認められます。エンベロープを持たないプラス1本鎖RNAウイルスです。ウイルス粒子の表面に32個のコップ状のくぼみがあることから、ラテン語でコップを意味する「calix」にちなみ、カリシウイルスという科に分類されました。他にサポウイルス、ラゴウイルス、ベシウイルスなどがあります。
 診断は便の遺伝子の一部RNAを検出するPCR法を用いますが、これは保険の適応の適応になりません。自費ですと2万円前後します。また結果に10日前後を要するため通常クリニックでおこなうことはありません。したがって診断書には「急性胃腸炎」「感染性胃腸炎」といった病名がつかわれます。
 症状は多彩でなんとなく気分が悪いという症状だけで終わってしまう人も入れば、嘔吐、下痢を10回以上も繰り返し、腹痛、高熱で腸閉塞を引き起こす人もいます。またまったく無症状の人も2,3割いるといわれています。ウイルス感染には潜伏期があって、感染後すぐに症状が出るわけではありません。ノロウイルスの場合はおよそ30時間、1〜2日といわれています。急激な症状で始まりますが、重篤になることはまれで、通常2,3日でほとんどの人が軽快します。ただ、軽快してからも10日間程便からウイルスを排出するため、人にうつす可能性があります。
 感染経路は食中毒か糞口感染です。食中毒の場合、二枚貝(カキ アサリ シジミなど)などの生食でおこります。カキなどの二枚貝の消化管にはノロウイルスが蓄積されており、カキ自体に感染しなくても人の体内に入ると食中毒を引き起こします。したがって食べる時は十分火を通すことが必要です。最近の流行はこのタイプではなくて感染者の便や吐物からの経口感染です。手指や衣服、食器から感染したわずか10個のウイルスは体内に入ると数時間後には数百万個に増殖します。感染対策としてはまめに石鹸で手を洗い流す、うがいをするなどが重要です。また病院内などの消毒用エタノールでは殺菌できません。
 ノロウイルスに対する抗ウイルス薬はありません。したがって対症療法になります。下痢止めもウイルスを体内にとどめるために使わないほうがいい場合もあります。


2006.12.20. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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