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花粉症治療について


2005年に「鼻アレルギー診療ガイドライン−通年性鼻炎と花粉症」が出版されました。それによると日本人でスギ花粉症に罹患している人は16.2%と報告されています。
年々増加傾向にあり、どこまで増えていくのか専門家でもよくわかりません。ある日突然に始まり毎年きまった時期に症状が出現する厄介な病気です。原因はスギ花粉に対するIgE抗体を血中で作ってしまう(これを「感作を受けた」といいます)からです。このIgE抗体がスギ花粉と抗原抗体反応を起こしさまざま化学物質が細胞から遊離します。これが鼻粘膜下で起こるのが花粉症です。この抗体が自然に消滅することはほとんどありません。したがって毎年のように決まって飛散してくるスギ花粉に悩まされることになります。
 「鼻アレルギー診療ガイドライン」では花粉症治療について詳しく記載してあります。まずなんといってもスギ花粉という抗原の除去、回避ですが、これについては多くの情報がありますのでここでは省略します。以下具体的な治療について述べてみたいと思います。花粉症には初期療法が非常に有効です。これは花粉飛散が始まる時期(症状が出現する時期)の2,3週前から軽い抗アレルギー剤を内服しておく(点鼻、点眼も有効)ことです。花粉の飛散量にもよりますが、年によってはほとんど症状が出ないで経過する人もいます。症状が出始めてからではなかなか治療効果が上がりません。軽症、中等症、重症になるにしたがって、作用の強い抗アレルギー剤、あるいはステロイド剤の局所療法、内服などが必要になってきます。手術が必要なのは鼻腔形態異常を伴う鼻閉型のみが有効と記載されています。したがって花粉症のために起こった鼻粘膜の肥厚をレーザーで焼却する方法はまた来年おこなうことになります。花粉飛散が終わると症状も軽快するので、治療はおよそ5月の連休明けでおしまいです。時々当院に毎年注射をして花粉症が出ないようにしているという患者さんがこられます。これは「ケナコルトA」というステロイドです。確かにスギ花粉飛散初期に注射するとちょうど2,3ヶ月細胞の遊走と化学物質の遊離を防ぐことができますので症状がほとんど出ずにすみます。しかし翌年必ず血中のIgE抗体、好酸球が上昇します。したがって花粉症は重症化します。安易に使うのはよくありません。ガイドラインでは軽症、中等症、重症すべてに有効な治療法は特異的免疫療法(減感作療法)と記載されています。スギ花粉の主要抗原はCriJ1です。これを一定量ふくむ標準化された(日本アレルギー学会が設定した)アレルゲン治療エキスがあります。このエキスを1、000、000倍程度に希釈し0.02ml〜0.3mlを徐々に濃度をあげながら最終的には10倍程度まで皮下注射していきます。これによって免疫寛容な状態(簡単に言うとスギ花粉に体が慣れる)をつくります。一度できた免疫寛容な状態は簡単に消えません。したがってほぼ一生続くことになります。当院では今年も6月から減感作療法をおこないます。数ヶ月から半年かかりますが、週1回程度気軽に来院していただくことが肝要です。待ち時間はほとんどありません。


2007.2.28. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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