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気管支喘息の治療について


今日は気管支喘息の治療についてお話してみたいと思います。そもそも喘息はどうして起きるのか、これの明快な答えは実はありません。気管支は23回枝分かれし末梢の肺胞に到達します。そこで、取り込んだ酸素のガス交換をおこないます。喘息は気道の慢性的な炎症で、炎症の首座は8回あたりからの末梢気道にあります。ここにどうして炎症細胞( 主に白血球内の好酸球 )が集まってくるのか良くわかっていません。血中濃度は数%でも発作中は末梢気道の粘膜下にこれの200倍もの好酸球が集束します。好酸球はさまざまな化学因子によって遊走し、気道上皮で炎症をおこします。この炎症が引き金となって 気道が収縮し、呼吸困難になります。したがって治療はこの炎症を抑えることが一番いい ということになります。
 以前喘息は何かのアレルギーで起こると思われていた時代がありました。実際にハウスダストアレルギーによる抗原抗体反応が気管支で起これば喘息の引き金になります。これをアトピー型( 外因性 )喘息といいます。 たとえば、毎年花粉症で悩んでいる人が花粉症の後数週間咳が止まらない、などの症状がつづき喘息に移行していくことがあります ( アレルギーマーチともいいます )。しかし最近ではアレルギーがなくても喘息が発症することは良く知られています。 治療が難しく難治化しやすいのは実はこのタイプの喘息で、 感染型 ( 内因性 ) 喘息ともいわれています。 もともと大人に多かったタイプですが、ここ数年子供でも増加傾向にあります。
 治療はできるだけ早期に ( リモデリングを起こす前に ) 気道の炎症をとることです。 これには吸入ステロイドが一番の近道です。先月、世界喘息デーに合わせて第47回日本呼吸器学会が東京フォーラムで開催されました。 ここでフィンランドの喘息死に対する国家 戦略が話題になりました。日本は先進国の中では断然喘息死が多く毎年およそ3000人 に上ります。 フ ィ ンランド ではこの15年間、 喘息に吸入ステロイドを積極的に使ってき ました。 そのために喘息死がほとんどなくなってきたというのです。フ ィ ンランド では 喘 息に吸入ステロイドを使っている患者さんが73 % いるのに対して日本では24 % 程度というのです。日本では明らかに吸入ステロイドの使用量が少ないのです。
 2006年 に発表された喘息治療の国際 ガイドライン では軽症から吸入 ステロイド を使うように推奨しています。 ス テ ロ イ ド 治療は長く続ける必要はありません。3 ヶ月症状がまったくなければ段階的に減量中止します。 リモデリングを起こす前であれば アトピー型の喘息でも感染型の喘息でもほぼ完治します。喘息がなかなか治りにくい、難治化しやすいのは気道の炎症が完全に治まっていないからです。呼吸困難、気管支の収縮をとるためにだらだらと気管支拡張剤や抗生剤、去痰剤を使い続けるのはよくありません。喘息の治療には早期に十分量の吸入ステロイドがどうしても必要なのです。


2007.6.5. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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