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H.pylori(ヘリコバクター・ピロリ)菌について


昔から「No acid No ulcer」(酸のないところに潰瘍はできない)といわれたように、胃酸は消化性潰瘍の発症に必須であり、かつ中心的な役割をはたしていると考えられてきた。胃潰瘍、十二指腸潰瘍ともに酸分泌抑制薬がもっとも効果的であることは古くから知られている。治療効果も酸分泌抑制の程度が強いほど高いことも明らかになっている。ところが、H.pylori菌の発見によって、消化性潰瘍の発症に中心的役割を果たしているのは実はH.pylori菌であって、必ずしも胃酸ではないことが明らかになってきた。十二指腸潰瘍は、H.pyloriが産生するアンモニア(アルカリ化)や炎症性サイトカインなどによって幽門部のガストリン産生細胞が刺激され胃酸分泌が亢進する。さらに十二指腸球部や胃上皮化生部分に生着し、セクレチンやCCKなどの因子からなる酸分泌抑制機構を障害する。胃潰瘍ではH.pylori感染は胃体部全体に胃炎を起こし、その結果粘膜萎縮が進行し、胃粘膜防御機構は著しく障害されることになる。この際、胃酸分泌はむしろ抑制されているわけであるが、そのような弱い胃酸であってもH.pyloriによって障害された粘膜に対しては十分な攻撃因子として潰瘍が発生する。簡単にいうとどのような原因で発症した消化性潰瘍であってもそこに少量でも酸があるかぎり「傷口に塩酸をかけている」ようなものであり、治癒は障害される。
 H.pylori感染の有無と胃癌発生の関連性を見た前向き試験の成績が2001年 「N.Engl J Med」にわが国のUemuraらによって発表された。平均8年間の内視鏡による経過観察で、H.pylori感染者からは2.9%(36/1,246)に胃癌が発生し、非感染群(280例)からは胃癌の発生は1例も認めなかった。H.pylori感染者における胃癌発症のリスクは非感染者に比べはるかに高いことが認められた。2004年「JAMA」には胃癌死亡率の高い中国福建省の一般住民のH.pylori感染者1,630名を対象として、H.pylori除菌治療群(817名)と対照群(プラセボ投与群)(813名)にわけ1994年から2002年まで7.5年間追跡した結果が報告された。その結果前癌性病変(萎縮、腸上皮化生、異形性)のないサブグループにおいて、除菌群の胃癌発生はなくプラセボ群にくらべて有意に低率であったと報告された。H.pylori除菌の時期をいつにすれば発癌を予防できるのかについては、現在まで詳しい解析は2003年「Cancer」のスナネズミの解析でしかない。H.pyloriの除菌をできるだけ早い段階でおこなうほうが明らかに胃癌予防の効果は強いと報告している。
 最近小児から10歳代の鉄欠乏性貧血(特に鉄剤治療抵抗性例や頻回再発例)や慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)も除菌の適応となっている。(「小児期ヘリコバクター・ピロリ感染症の診断、治療、および管理指針 2005年」より)
 ますますH.pyloriから眼を離せなくなってきている。


2008.2.20. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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