新型インフルエンザ
1今日は新型インフルエンザについてお話したいと思います。8月24日現在練馬区では1000人を超える新型インフルエンザの発生がありました。ほとんどすべての小中学校、高校でも感染が確認されています。全国的にはすでに十数名の重症例と3名の死亡者も発表されました。インフルエンザについての情報はかなりマスコミ等で詳しく報道されていますので以下予防と治療についてお話したいと思います。過去3回のパンデミック(インフルエンザの世界的大流行)と同じように今後冬にかけて大流行が予想されます。厚生労働省は通常の季節性インフルエンザと同じ対応をするように呼びかけています。インフルエンザはヒトからヒトへの飛沫感染です。インフルエンザウイルスはヒトの体内でしか増殖しません。そのためインフルエンザウイルスが飛び散ってヒトの手や衣服で長時間生きていくのは不可能です。ものの20分もすれば死んでしまいます。したがってこまめにうがいと手洗いをすることが非常に重要です。発熱、咳、咽頭痛があれば速やかに医療機関に受診することをお勧めします。医療機関に受診する場合は必ずマスクを着用します。医療機関に受診する大半の患者さんは何らかの基礎疾患を持っている人です。イ。ンフルエンザにかかると重症化する人もいます。現在迅速診断キットがありますが、すぐに反応がでるわけではありません。半日以上高熱で、しかも鼻粘膜でかなりウイルスが増殖した段階でしか陽性になりません。家族や会社の同僚、クラブ活動など周辺にインフルエンザの人がいてなおかつ咳、発熱などの症状があれば診断を待たずに抗インフルエンザ薬を使わなくてはなりません。現在のノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル、リレンザ)は侵入したウイルスをヒトの細胞内に閉じ込めて他の細胞に移るのをふせぎます。しかし殺ウイルス作用はないのでウイルスが増殖してからでは効果的ではないのです。そのため早期に治療開始することが重要になります。解熱剤は使う種類が限られます。安易に使うとウイルスが増殖し、重症化しやすくなります。インフルエンザは症状が治まってからもウイルスの排菌がつづきます。通常は解熱後2日で社会復帰、学校も登校可能ですが、厚生労働省は原則7日と指示しています。新型インフルエンザの致死率は発生当初より低く現在のところ0.4%(250人に1人)で季節性インフルエンザの約4倍程度と推定されています。インフルエンザワクチンの接種は季節性が早くて9月下旬、新型がそれより1カ月程度遅れる見込みです。絶対量が足りないので現在優先順位を検討中です。最後に、よくインフルエンザにかかったことを隠す人がいます。理由はよくわかりませんが、これは感染拡大につながるだけです。できるだけみんなで情報を共有し克服していく必要があります。医療機関でインフルエンザが発生すると大変ですが、今のところ練馬区ではドクターのインフルエンザ感染例はないそうです。ご安心ください。
2009.8.25. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友
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