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なぜ人間だけ絶望するの?


日経新聞を読んでいて面白い記事が目に止まりました。7月25日付けの朝刊「ナゾ(謎)かがく」です。日本ではおよそ17分に1人の割合で、自らが命を絶つ。毎年3万人にものぼる自殺の理由は、健康への不安や経済・生活苦・男女問題などまちまちだが、「もう生きていても仕方ない」と明日への望みがたたれ、それが引き金になるケースは多い。人間だけがなぜ絶望するのだろうか。同じ霊長類であるチンパンジー研究から人間とは何かに迫る、比較認知科学の観点から探ってみよう。愛知県犬山市にある京都大学霊長類研究所。5月に28歳になったオスのチンパンジー、レオが首から下が麻痺して動けなくなる脊髄炎を発病したのは2006年9月、4年前のことだ。食欲はなくなり、点滴で水分と栄養を補う毎日が続いた。寝たきりのため、床ずれもひどい。
 57kgあった体重は35kgまで激減。骨と皮だけの痛々しい姿になるが、首から上は元気な頃となんら変わらず、落ち込む様子はまったくみられなかったという。どうしてなのか。松沢哲郎霊長類研究所長は「チンパンジーは明日のことをくよくよ考えないからだ」と解説する。
 こんな実験がある。目や鼻、口のないのっぺらぼうの顔の線画を前にすると、チンパンジーは輪郭をなぞるように、落書きをする。実際に描かれたものを重ね書きはできるが、「ない」目を補おうとはしない。一方、人間の子どもは2歳半ごろから、本来目や鼻のあるべきところに丸を描くようになる。想像力が芽生えてくるからだ。
 松沢所長によると、今目の前にある世界でのみ生きているチンパンジーは「ねたんだり、うらやんだり、そねんだりしない。」彼我の差に思いを巡らせ、過去を引きずり、将来を憂うのは人間のなせるわざという。
 人間は進化の過程で言葉を手にした。言葉によって体験が時間と空間を飛び越えていく。
「想像できる時間と空間の範囲が人間とチンパンジーでは全く違う。」(松沢所長)
 今置かれた立場がとてもつらいと、自分の将来を見据えた時に絶望に陥りやすい。ただ、希望もまた想像力のたまもので、人間だけが持つ。希望と絶望はコインの表と裏の関係ともいえるだろう。
 病気になる前と何ら変わらず元気に振舞うレオの姿に励まされ、霊長類のスタッフは不休の介護をした。発病後1年で炎症は治まり、レオは今では自分の力で動き回れるまで回復した。
 最近この不況社会をどう克服し、成功をおさめてきたかという番組がテレビやマスコミでよくとりあげられる。チンパンジーがこれをみても、ねたみも、うらみも、そねみもしないのであろう。地球環境という限られた空間と時間の中で逃げるのでもなく、立ち向かうのでもなく、困難を自然に受け入れる。しかし希望だけは失わない。医療 福祉 介護 経済 教育 地球温暖化。この記事はこれからの人間の過ごし方を考えさせてくれている。

2010.7.27. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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