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線維筋痛症 その2


今年「線維筋痛症診療ガイドライン」がようやく発行されました。2003年の厚労省研究班の発足以来ほぼ7年を要したわけですが、いまだ原因が解明されたわけではありません。しかしこのガイドラインで臨床現場での診療の指針が示されたといっていいと思います。ガイドラインの内容をかいつまんで述べてみたいと思います。
線維筋痛症は原因不明の全身の疼痛、不眠、うつ病などの精神神経症状、過敏性大腸炎、膀胱炎などの症状を主症状とする。近年ドライアイ、ドライマウスなどの粘膜障害もきたし、症状の進行にともなって腱付着部炎や筋肉、関節などに及ぶ四肢から身体全体に激しい疼痛が拡散し、この疼痛発症機序は下行性痛覚抑制経路の障害による痛みと考えられている。患者はいわゆる働き盛りの30〜40歳代に発症し、長期間にわたる激しい痛みのためQOLが著しく低下し社会的に大きな問題を招いている。特に本邦では進行例が多いことやその臨床像の複雑さもあり、病態解明はもとより診療体制の整備が著しく遅れている。まず患者はもとよりその家族、さらには医師をはじめ医療従事者にも著しく本疾患に対する正しい情報が欠落していることである。特に客観的な診断のマーカーが欠如しているうえ、筋骨格系の疼痛以外の多彩な症状がどうしても従来のいわゆる疾患診断のアルゴリズムに対応している。精神・神経症状が前面に出ている場合もあり不登校児のなかにも小児線維筋痛症がかなり存在する。全体の患者数の多さから考えると、適切な診断や治療が行われないまま放置されており、患者の社会的、経済的損失は計り知れないものがある。諸外国でも同様で米国では1990年代に入ってから徐々に注目され始め、近年、発展途上国を含めて増加の一途をたどっている。本邦では厚労省研究班の調査で全国の人口の1.66%に発症し200万人以上の患者が存在する。その80%を女性が占めることが分かってきた。
発症の機序には中枢性の神経因性疼痛に関する因子が関与している。その引き金には外因性と内因性、あるいはその双方が混在している。また他疾患と同様に遺伝的素因が存在する。外因性要因としては、外傷、手術、ウイルス感染など。内因性要因としては離婚、死別、別居、解雇、経済的困窮などの生活環境のストレス。慢性ストレスとして、神経、内分泌、免疫系の異常による疼痛シグナル伝達制御のシステムの障害。筋骨格系以外の症状として、不眠、うつ病などの精神神経症状、自律神経の過緊張と考えられる過敏性大腸症候群、膀胱炎、ドライアイ、シェーグレン症候群の乾燥症状などがみとめられ、多彩な全身症状を呈する重症へと進展する。
「痛み」のとらえ方はアメリカリウマチ学会が1990年に作成した身体躯幹部位を中心とする18か所の圧痛点が基準になる。典型的な線維筋痛症では大腿四頭筋の外側筋膜にほぼ全例に圧痛点をみとめる。症状が進行した場合にはこの圧痛点を通り越して身体全体に及ぶ。その特徴は疼痛部位が一定の神経支配領域や解剖学的視点からでは説明できないことが多い。治療についてはまた次の稿でお話します。

2010.8.21. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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