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GERD(胃食道逆流症) その2


最近新しい知見がいろいろと報告されておりますのでご紹介します。症状としては以前にも書きましたが圧倒的に多いのは咳、胸痛(中には背部痛)、咽喉頭違和感(喉がつかえたような変な感じ)です。胸部X線撮影、心電図、耳鼻科などの検査で異常がなく、どれかひとつでも症状があれば可能性はかなり高くなります。食事をするとその内容物は食道を通って胃に入ります。胃酸でその内容物はある程度消化されて十二指腸に押し出されていきます。この消化時間が問題で、いくら胃酸が強酸性(PH 1〜2)でも最低4時間はかかります。十二指腸への出口はリング状になっていて、この径は最大でおよそ3,4mmしかありません。ここを食物内容物が通るにはかなり消化されて泥状になっていないと出て行きません。胃食道の接合部は括約筋で通常は閉じているのですが、胃に内容物が落下した時点から消化がある程度進行するまではこの括約筋が弛緩します。この弛緩が胃酸の逆流をおこすのです。食道はもともと弱アルカリ性ですので胃酸によって簡単に知覚過敏をおこしてしまいます。咳、胸痛、咽喉頭違和感などの症状が出現するにはかなりの長い時間がかかっていることが多いようです。症状そのものは突然ですが、それまでの食習慣が問題です。仕事で帰りが遅く夜寝る前に食事をするという習慣を繰り返していると、食事の内容はどうであれ、胃での酸分泌は寝ている間ずっとつづきます。寝ている間の症状はほとんどありません。症状は大体日中がほとんどです。最近気になることがあります。同じような症状を訴える子どもがいるのです。子どもの教育に「早寝、早起き、朝ごはん、読み、書き、計算」と大号令がかかっています。朝ご飯はしっかりたべる。昼ご飯も学校ではおかわり自由。学校からかえっておやつ。塾に行く前に夕ご飯をたべます。塾から遅くかえってくるとおなかが空きます。それで寝る前にまたなにか口にする。胃酸分泌の休まる暇がありません。おまけに核家族化でピロリ菌の保菌者が減っています。これがまた追い討ちをかけるように小児のGERD患者をふやしています。GERD治療は胃酸の分泌をおさえるPPI(プロトンポンプインヒビター)が著効します。しかしもともとは食習慣からきているのでこれを改めるのがまず第1です。食事と食事の間隔をあける。寝る前4時間の空腹時間をとる。食べてすぐに横にならないなど工夫する必要があります。GERDは気管支喘息の増悪とも関係があります。喘息治療が安定しているのに咳が長引くなどの症状がある時はGERDを疑う必要があります。もちろんその前に胸部X線撮影、肺機能、心電図などでなにかその他の肺疾患、心疾患が隠れてないか精査する必要があります。胃食道疾患を疑うのはその後になります。食事は何に気を付けたらいいか、という質問もよく受けます。上部消化管の疾患と食事との関係は最近わかったアセトアルデヒド(アルコール)と食道癌との因果関係があることぐらいです。胃酸は最初にも述べましたが強酸性なのでなにを食べてもかまいません。最初に野菜やドレッシングなどアルカリ食品をとると胃酸が中和されるので少し効果的と思われます。最後にタバコとの関係ですが、これは論外で食道・胃粘膜の増悪は眼にみえています。禁煙が必要です。

2011.4.13.氷川台内科クリニック 院長 櫻田 ニ友

 

 

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