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脂質異常症


 一昨年11月米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)による「心血管疾患リスク低減のための生活習慣マネジメントのガイドライン」、今年2月の米福祉省(HHS)と米国農務省(USDA)による2015年米国民食事ガイドライン(以下GL)に関する諮問委員会の報告書、同年3月の「2015年日本人の食事摂取基準」がそれぞれ「コレステロール摂取基準を設けない」との新たな推奨を発表。この方針の転換が「食事からのコレステロール摂取上限が撤廃」「卵を何個食べても大丈夫」などと大きく報道された。要するに高コレステロール血症に食事療法は意味がないということである。これに対して日本動脈硬化学会はつぎのように反論している。米国の発表は健康な一般国民を対象にしたGLであって、すでに生活習慣病に罹った人や肥満の人には当てはまらない。同学会のGLでは動脈硬化性疾患初発予防のため、肉の脂身や乳製品、卵黄などに含まれるコレステロールや飽和脂肪酸の摂取を減らすことが推奨されている。それと同時に生活習慣全体を見直すこと、脂肪酸の摂取バランスを考えて食事をすることを推奨している。言い換えれば1日に2個も3個も卵を食べていいということはない、ということである。また、脂質異常症あるいは動脈硬化性疾患(脳卒中、心筋梗塞など)リスクの食事療法のポイントを以下のように上げている。1.肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、高トリグリセライド(TG)血症の人は摂取エネルギー(カロリー)を制限する必要がある。2.高LDL―コレステロール血症の人はより飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量に注意する必要がある。具体的には1.伝統的な日本食(The Japan Diet)は動脈硬化性疾患の予防に有効である。2.過食を抑え、標準体重を維持する。3.肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を抑え、魚類、大豆製品の摂取を増やす。3.野菜、果物、海藻の摂取を増やす。4.食塩を多く含む食品の摂取を控える。5.アルコールの過剰摂取を控える。6.食習慣・食行動を修正する。7.食品と薬物の相互作用に注意すること、を上げている。脂質異常症などの生活習慣病による脳血管疾患は、昨年だけで80万人が罹患し20万人が亡くなっている。生活のリズムを作る。運動習慣を守る。十分な睡眠時間を取る。ストレスをためない。みんなと仲良く過ごす、などはもちろんである。と同時に、高血圧症は減塩食を心がける。糖尿病は糖質、炭水化物(御飯、パン、麺類)を控える。高尿酸血症はアルコール、果糖、プリンタ体を控える。高コレステロール血症、高トリグリセライド血症などの脂質異常症もやはり食事療法が必要である。街中には健康を害する誘惑の罠があちらこちらに仕掛けられている。人生は一度きりである。健康を維持しつつ長生きすることはなかなか難しい。しかし、たまには誘惑の罠をたちきる勇気も必要と思われる。それは自分のためだけでなく周りに迷惑をかけないためでもある。自分勝手には生きられないのである。


2015.12.8. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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