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病理医


 今日は病理医についてお話ししたいと思います。私たち開業医や病院の勤務医は臨床医と言います。患者さんを診て、病名を突き止め、治療していく医師のことを言います。これはこれで大変ですが、この仕事とは別に病理医という仕事があります。たとえば内視鏡をおこなって粘膜の不整が見つかった時、鉗子で生検を行います。その組織をこまかく切片にして癌細胞がないかどうか顕微鏡で診断する医師です。この仕事をするには長い年月、大学病院などの特定機能病院で病理組織の診断訓練を行います。そして認定病理医として登録されます。その後、病院やクリニックから送られてくる検体の組織を診断する仕事につくのですが、現在その担い手は平成15年5月現在2258人しかいません。問題はその先で、このうち3/4は大学病院や研究施設に研究者として従事している医師です。その結果、臨床に直接携わる臨床病理医は日本全国で500人足らずと思われます。厚生労働省の発表によると2014年度に実施された病理診断は実に376万件です。超高齢化社会に向けて1年間に癌と診断された人は100万人近くにのぼります。癌が疑わしいとして病理診断に回る検体はその数十倍に上ります。そのすべての検体を500人足らずの病理医が担っているのです。病理医の仕事はそれだけではありません。体外に排出された尿や喀痰、膣内からの分泌物などの細胞診も行います。その他にもクローン病か潰瘍性大腸炎か、結核性肉芽種かサルコイドーシスか、血管炎か膠原病か、ループス肝炎かウイルス肝炎かその仕事は多岐にわたります。また生体だけではありません。事件や事故で亡くなった人の司法解剖後の病理診断もおこないます。私は病理医などの基礎研究とは無縁の臨床医の道を歩んできましたが、ある学会でこのことを知ったとき愕然としました。小児科医、産婦人科医、救急医が足りないことは知っていましたが、病理医が500人足らずではお話になりません。200人の園児を保育士一人で見るようなものです。現在の病理医は5年後には2割近くが65歳を超え、ますます厳しい状況に追い込まれます。iPS細胞を発見した山中先生の講演で、自分は臨床に向いていないので基礎研究を目指したと聞いたことがあります。現在の臨床病理医の状況は危機的で、こういう人を待っている余裕はありません。私たち臨床医の仕事は病理医の正しい診断がなくては成り立ちません。地味な仕事ではありますが、何とか増やしていかないと医療そのものが崩壊しかねません。かといって私には何の妙案もありません。社会全体でこの危機的状況を認識する必要があると思います。


2016.8.23. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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