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新型コロナウイルス その10 スロバキア


 示唆に富んだ話がJETRO(日本貿易振興機構)とNewsweek紙にありましたのでご紹介します。中央ヨーロッパにスロバキアという国があります。チェコ、ポーランド、ウクライナ、ハンガリー、オーストリアに囲まれた人口545万人の国です。面積はちょうど日本の九州と同じ広さです。第一次大戦後、チェコと合併する形で、オーストリア・ハンガリー帝国から独立した1989年のビロード革命が有名ですが、1993年1月1日にチェコから独立し(ビロード離婚)、現在に至っています。カヌーの強豪国で羽根田卓也選手が高校卒業後に単身渡ったことでも有名です。スロバキアで新型コロナウイルスの感染が初めて確認されたのは3月6日で52歳の男性です。感染地域への渡航歴はありませんでした。翌日にその妻と子供への感染が確認され。8日にも2人の感染が確認されました。政府は2月28日からすでに空港での検温とアンケート用紙の配布をしていましたが、初の感染者がでた3月6日にはイタリア発着便の停止、感染地域を含む国外への渡航自粛、感染患者のいる医療・介護施設への訪問禁止、国外への修学旅行の禁止を発表しています。スロバキアはマグネシウムなどの有機鉱物資源、自動車工場、電子機器工場などがありますが、基本的には農業国です。数十万人が季節労働者や移民として周辺国へ働きに出かけています。2月後半から3月にかけてコロナ禍のさわぎの中にあったイタリア北部を訪れたスロバキア人は約5万人です。しかし、彼らの帰国後も大規模な感染は起こりませんでした。スロバキアはEU加盟国ですが、他の国に比べるとPPE(個人用防護具)、検査キットの備蓄もわずかで、専門家も少なく、医療体制も脆弱でした。台湾のように接触者追跡アプリや「スマート隔離」制度も導入されていません。5月8日現在、確認された感染者数は1455人、死者数は26人にとどまっています。すでに2万人以上が死亡しているニューヨーク州にあてはめると死者数は約90人になります。国内初の感染者がでてから9日目の3月15日、政府は緊急事態宣言を出しました。翌日から学校は一斉休校、食料品店や薬局、銀行を除くすべての商業施設が閉鎖され、イベントや集会の開催が禁止されました。国内の全空港を閉鎖し、帰国者の隔離も義務付けました。ただし、一部の国と異なり、個人単位での移動はおおむね制限されませんでした。しかし、これだけではありません。最も重要な要因はメディアと政治家の対応でした。3月13日、国内で人気のテレビ番組で、ニュースキャスターがマスクを着用してテレビ画面に現れたのです。ちょうど新内閣発足前で、今のイゴール・マトビッチ首相とマレク・クライチー保健相にも、そのニュースキャスターがマスクを手渡し着用するように促しました。二人はその場でマスクを着け、翌日から国中にマスク着用が広がりました。その効果は絶大で、翌4月22日には制限措置の緩和がはじまりました。1日当たりの新規感染者数が1桁台で推移したため、5月6日からは大半の商店や飲食店、ホテルの営業再開も許可されました。日本での最初の感染者は、1月6日中国武漢市から帰国した32歳の神奈川県の男性です。緊急事態宣言が出されたのはそれから3カ月後の4月7日です。もしも、報道ステーションのニュースキャスターと内閣総理大臣が、1月13日にマスクをしてテレビ画面に現れていたら、全く違った経過をたどっていたかもしれません。


2020.5.20. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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