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新型コロナウイルス その11 BCG日本株


 BCG(Bacille de Carmette et Guerin)は1921年、フランスのリール・パスツール研究所で誕生しました。1897年に赤痢菌を発見した志賀 潔は1924年、国際赤痢血清委員会出席のためフランスに渡航しています。その時、Carmetteから直接その菌株(現Tokyo172株)を譲り受け、日本に持ち帰りました。北里研究所、伝染病研究所、大阪府竹尾研究所で大切に保管されてきましたが、1937年、結核予防委員会が設立されました。それ以降、竹尾株がワクチン製造用株として、グリセリン加ウシ胆汁馬鈴薯培地で継代培養され、戦後、国立予防衛生研究所(現国立感染症研究所)に受け継がれました。初期は液体ワクチンとして継代培養されてきましたが、1961年にTokyo172株として、凍結乾燥シートロットが作成されました。1965年、WHOは凍結乾燥BCGワクチンの「初代国際参照品」にTokyo172株を選定しました。WHOとUNICEFは発展途上国の子供たちを救うための予防接種拡大計画(Expanded Program on Immunization:EPI)のためにBCGワクチン製造ライセンスを世界5施設に与えました。しかし、その後、それぞれの国で、それぞれの方法で継代培養する間に、原株とは異なる遺伝形質を持った多数の亜株ができました。そのため2003年から2005年にかけて、ロンドン、ジュネーブ、パリで開催されたWHOの会合で、アンプルごとの生菌数、ATP量、mPCRなどが測定され、2010年にTokyo172−1株、Danish1331株(デンマーク)、2011年にロシア株BCG−1(インド)、2012年にMoreau−RJ株(ブラジル)が「国際参照試薬」に認定されました。注目すべきは生菌数とATP量で、Tokyo172−1株は生菌数で他の株の7〜15倍、ATP量で4〜29倍多いことがわかっています。5月19日現在、新型コロナウイルス感染による死者数が100万人当たり最も多いのがベルギーで783人、次にイタリア:529人、オランダ:332人、アメリカ:273人です。いずれの国もBCG接種歴はありません。スペイン:592人、イギリス:513人、フランス:433人はDanish1331株を接種していましたが、1981年から2000年代に中断しています。Tokyo172−1株を接種している国は100万人当たりの死者数は日本:6人、イラク:3人、フィリピン:8人、パキスタン:4人、バングラデッシュ:2人、マレーシア:3人、サウジアラビア:9人となっています。有意差は歴然で2桁違います。注目すべきは1桁違う国があります。ブラジルは79人ですが実はMoreau―RJ株を接種しています。ドイツ:95人、トルコ:49人、チリ:25人、ロシア:19人、ですが、これらの国々はロシア株BCG−1を接種しています。またイランは84人ですが、「国際参照試薬」以前のパスツール株を使用しています。イスラエルでBCGワクチンの有効性が検証されました。イスラエルのBCG接種は1955年から1982年まで行われ、接種率は90%以上です。それ以降は結核蔓延国からの移民のみにおこなわれています。1979年から1981年生まれのBCG接種者3064人と1983年から1985年までのBCG未接種者の2869人について新型コロナウイルスのPCR検査を行った結果、陽性率は11.7%と10.4%で有意差がなかったと報告しています。しかし、接種していたBCGワクチンが今の「国際参照試薬」でないことだけは確かです。ドイツ、オランダ、オーストラリア、スペインなどで新型コロナウイルスに対するBCGワクチンの予防効果が検証されていますが、検証するのであれば、Tokyo172−1株を使って行う必要があります。


2020.5.23. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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