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新型コロナウイルス その17 麻疹(はしか)


 WHO(世界保健機関)は、新型コロナウイルス感染予防策として人と人との物理的距離を確保する必要があることから、3月26日付のガイドラインで、大規模なワクチン予防接種キャンペーンを控えるように指示しました。その後、UNICEFは4月14日、世界37か国で約1億7000万人の子供たちが、はしかの予防接種を予定通り受けられない恐れがあると指摘しています。日本では1977年8月から1995年9月まで中学生女子のみに接種していましたが、段階的に増やし、2006年からはMRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)として、1歳児、小学校1年生就学前で2回接種が義務付けられています。このため39歳から56歳の男性はワクチン接種を受けていません。1人の感染者が何人に感染させるかを基本再生産数(RO)といいますが、インフルエンザや新型コロナウイルスが約1〜2人に対し麻疹は17人です。したがって、麻疹ウイルスに接触すると、免疫を持っていない人はほぼ100%発症します。麻疹ウイルスは空気感染、飛沫感染、接触感染により約10日間の潜伏期を経て発症します。全身のリンパ組織を中心に増え、一時的に免疫機能低下を引き起こし、肺炎や脳炎を引き起こし、死にいたることもあります。38度程度の熱が2〜3日続き、その後、耳の後ろから赤い発疹が出現、全身に広がります。発熱が3〜4日続いた後、合併症がなければ7日〜10日で回復します。乳幼児では下痢や腹痛を伴うことが多く、口の中の粘膜に白いアワ粒のようなコプリック班がでるのが特徴です。感染後4〜8年の潜伏期を経て学童期に亜急性硬化性全脳炎を引き起こすこともあり、妊娠中に感染すると流産や早産を引き起こす可能性もあります。WHOとCDC(米疾病対策センター)は、世界で、2017年度の感染者数;760万人、死者;12万4000人、2018年度感染者数;980万人、死者14万2000人と増加し、接種率は、1回目が86%、2回目が69%程度にとどまっているとしています。今年新型コロナウイルスの影響ではるかに大きな代償を払うことになると考えられます。さらに、「世界ポリオ撲滅推進活動(GPEI)」はポリオワクチン予防接種キャンペーンを6月1日以降に延期し、新型コロナウイルス感染症の発生状況を踏まえたうえで実施の是非を再評価するよう助言しています。日本ではポリオはほぼ撲滅されていますが、パキスタンでは野生株ポリオウイルスがいまだ発生しており、2019年にも147人が発症し、新型コロナウイルスとのはざまでジレンマに陥っています。ドイツでは2002年2月に4000万人が予防接種の機会を失ったと報告されています。UNICEFのジョアンナ・レア報道官は、「定期的なワクチン・サービスの中断は、子供たちが致命的な病気にかかるリスクを増大させ、現在の国内の医療サービスへの負担を悪化させ、感染症の第2のパンデミックを引き起こす可能性がある。」と指摘しています。イギリスではこの新型コロナウイルス禍の中、定期的な予防接種の一貫として、子供たちへのMMRワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜ)の接種をつづけています。イギリス公衆衛生サービス(PHE)の免疫部門を統括するメアリー・ラムジーは、「国の予防接種計画は、肺炎や髄膜炎、百日咳、ジフテリア、はしかといった深刻で、時には命を脅かす病気の予防において、非常に効果を発揮している」と述べています。新型コロナウイルスが、1人が数人に感染させるのに対し、麻疹は一人が最大90人に感染します。第2のパンデミックが予想しない形で現れないことを願うしかありません。


2020.6.8. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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