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新型コロナウイルス その19 不顕性感染


 今日は5月12日、イギリス感染症専門誌「ユーロサーベイランス」に掲載された調査結果をご紹介します。調査したのは、京都大学、オックスフォード大学、ジョージア州立大学の研究グループです。新型コロナウイルス感染症の流行は4つのグループに分類することができます。1.亡くなった人 2.発熱や咳、肺炎などの症状が出た人 3.全く症状の出ないまま治ってしまった人(不顕性感染) 4.未感染者です。この分類を正確に把握するために世界中でPCR検査や抗体検査が行われています。これが端的にわかる場所があります。横浜港に停泊したクルーズ船、ダイヤモンドプリンセス号です。クルーズ船の乗員3711人を対象に、3063回PCR検査が行われ、634人に陽性反応が出ました。2月21日までに306人に症状がでて、2週間の潜伏期を経て、最初にPCR検査で陽性反応がでたものの、全く症状のでないまま治った「不顕性感染者」が113人いることがわかりました。PCR検査で陽性と診断され、隔離されたものの、熱など軽い症状さえ出ない人が17.9%いたことになります。また、東京大学のグループは健康な人の全身に少なくとも39種類のウイルスが住み着いていることを突き止めました。特に多いのがヒトヘルペスウイルスで、脳、肺、胃、血液、肝臓、大腸です。RSウイルスは肺や大腸、コロナウイルスは脳、心臓、腎臓、血液、大腸などに住み着いています。それぞれの臓器に5種類から9種類のウイルスが潜んでいます。中高年で発症する帯状疱疹は乳幼児期に感染した「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因です。頭部、頸部、腋窩部、腰部などの神経節に数十年以上潜んで、疲労、睡眠不足、加齢など免疫力がさがってくると発症します。白血病の原因となる「ヒトT細胞白血病ウイルス1」は国内に約100万人の感染者がいますが、生涯の発症率は5%程度で、発症するまで数十年潜伏します。エイズウイルスは免疫細胞に感染しますが、発症までに数年から数十年を要します。風疹は約30%が、急性灰白髄炎(ポリオ)は約95%が不顕性感染で、潜伏期はおよそ1〜2週間です。インフルエンザウイルスやノロウイルスのように潜伏期が1〜2日であれば、対処の仕様もありますが、潜伏期が数十年になると対処の仕様がありません。いっそのこと、ヒトの一生を超えてくれればいいのですが、それではウイルスも生き残れません。ウイルスは自分の子孫を残すために、巧みな方法をとっていると考えられます。新型コロナウイルスの潜伏期間は1日〜2週間、平均5.8日です。発症後、緩解すれば、その後2週間程度でIgG抗体が産生されてきます。これ以降の発症は通常はあり得ませんし、他の人にうつす心配もありません。クルーズ船の調査で分かることは、一部の専門家が心配するPCR検査陽性者の数倍、数十倍の感染者がいる可能性を否定することにもなっています。これから、明らかになることと思われますが、クルーズ船の水際対策は他の国から批判されるほどひどかったわけでもありません。1月20日に横浜港を出発し、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、沖縄を経由し、2月3日に横浜港に帰港していますが、1月25日に香港で下船した乗客が1月30日に発熱し、2月1日に新型コロナウイルス陽性が確認されました。検疫が開始されたのは2月5日です。大部分の人が検疫開始前にすでに感染していたことも明らかになりました。新型コロナウイルスに感染した乗客100人以上を受け入れ、一人の死者も、院内感染者も出さなかった自衛隊中央病院の活躍は称賛に価します。世界がパンデミックの中、貴重な資料を残して、クルーズ船、ダイヤモンドプリンセス号は5月16日、横浜港を後に出港していきました。


2020.6.22. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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