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新型コロナウイルス その25 強迫性障害


 新型コロナウイルスが猛威を振るう中、テレビやインターネット、スマホから目を離せなくなっている人が多いと思います。感染予防のためにマスク、手洗いや消毒が推奨されていますが、過度に繰り返し、顔や手に炎症を起こし、生活に支障が出ている人があるのではないでしょうか。電車に乗ってもつり革や手すりにさわるとウイルスに感染してしまいそうで心配、エレベーターのボタンは触らない、誰かが触るのを待つ、トイレにはいっても、便座に座るのが心配、取っ手を触りたくないのでタオルで何度も消毒する。高齢者で、自分はなんともなくても子供や孫に家から外に出るなと止められる、と言った話もよく聞きます。これでは家から一歩も外に出ることが出来なくなってしまいます。当院にくる患者さんの中にも、窓の換気がきちんとできているか、ソファーやベッド、医療機器が消毒されているか、スタッフや患者に感染者がいないか気にしている人がいます。待合室に咳をしている患者さんがいるとコロナじゃないかと私に聞きます。その患者さんが喘息や肺気腫で苦しんでいるかもしれないという思いはありません。病院をコロナの巣と勘違いしています。先日の新聞では、唯一コロナ感染者が出ていない岩手県で県外ナンバーの車の窓ガラスが割れられる、などの被害が多発していることが報道されました。これは、非日常の異常事態です。「強迫性障害」という心の病気で、病気がそういう行動を起こさせます。強迫性障害は意識しても避けられない不安などの「強迫観念」と、不安な気持ちを打ち消すために過剰に繰り返す「強迫行為」を特徴とする心の疾患です。その行為が日常生活に支障をきたすようになれば、「強迫性障害」の可能性があります。岩手県庁は岩手県人であることを証明する1000枚のステッカーを作りました。岩手県人で県外ナンバーの車に乗っている人は、車のフロントガラスの下に置いて被害を受けないようにするといった対策が取られることになりました。ウイルスの飛沫の拡散はよくテレビの映像で出てきますが、これを見ると確かに知らない人のそばにいるだけで、感染しそうです。コロナウイルスは飛沫が空気中に漂いますが、数十個、数百個のウイルスを吸い込んだだけでは感染は成立しません。感染するためには数百万個のウイルスの飛沫かまとまった喀痰が必要です。1m以内で1時間以上、コロナ患者と対面でおしゃべりをし続けた場合にのみ、感染の機会があります。したがって、コロナ患者とたとえ道ですれ違っても感染はしません。ホストクラブもキャバクラも1m以内で数時間にわたって会話します。この中にコロナ感染者がいれば、他の人に感染します。これがよくないと専門家が言っています。これがなくなれば東京都のコロナ感染者はいなくなるはずです。症状があるなしにかかわらず、潜伏期から回復期まで、都合3週間です。この間、接触がなければウイルスは生きていけません。残念なことにこのわずか3週間が守れません。ウイルスもしたたかで、感染後の抗体は約半年でなくなってしまいます。ヒトはふたたび感染の機会にさらされます。ウイルスと闘うことはもう無理です。適度な距離を保って共存を図ることが必要です。強迫性障害の患者は推定100万人と言われていますが、対策がないわけではありません。「新型コロナウイルス その8 コロナうつ」にも書きましたが、コロナ関連の情報はテレビでもインターネットでも1日1本にしぼり、1回だけにする。テレワークが多くなっていますが、決まった時間に起床し、決まった時間に寝る。決まった時間に食事をし、決まった時間に決まった人と会話する。手洗いも帰宅後やトイレ後1回と決めておく。要は毎日の習慣を変えない、「体内時計」を乱さないことが大切です。


2020.7.15. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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