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文学


 「源氏物語」は別格にして、明治以降の文学作品で傑作はやはり、三島由紀夫の「金閣寺」、志賀直哉の「暗夜行路」と私は思っている。翻訳された文学作品、ロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」、パール・バックの「大地」、ドストエフスキーの「罪と罰」などの大河小説は、中学・高校の夏休みや冬休みに読んだ。翻訳小説は言語ではないのでその良さは半分もわかってないと思う。ただ、主人公が屋敷の塀に沿って100mを歩き終わるのに数十、数百ページが費やされるのには閉口した。中学・高校時代はクラブ活動を除いて、ほとんど読書で終わった。夏目漱石、森鴎外、島崎藤村、国木田独歩、川端康成など、友人と競い合うように文庫本を貸し借りして読んだが、文体のきらびやかさは三島由紀夫、文章の簡潔さでは志賀直哉と私は思っている。医学の道に入ってからは、ほとんど文学というものに縁がなくなった。私が救急医療をやっていて忙しいのもあったが、文学者の想像をはるかに超えたもっと凄惨な現実を目の前にして、文学がかすんでしまったのと、興味が尽きないことにある。今年の初め、都内某有名大学の文学部の女子学生が診察にやってきた。病気はなんだったか覚えていないが、明治時代の文学を専攻しているという。私はどんな本を読んでいるのか聞いてみた。すると、驚く答えが返ってきた。文学作品は読んだことがない、先生がペーパーを配り、それを講義するという。返す言葉がなかった。


2020.11.27.練馬区 櫻田 二友
東京保険医新聞 2021年 新年特集号から

 

 

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