脱炭素狂騒曲 その1 ザ・ライン
今、新聞やテレビで気候変動、脱炭素、地球温暖化の記事を見ない日はありません。紙面の約半分を占めるといっても過言ではありません。小・中学生の理科を思い出していただきたいと思います。大気の組成は水蒸気を除けば、窒素(N2);78.11%,酸素(O2);20.96%,アルゴン(Ar);0.93%、これでおよそ100%を占めます。その他は一酸化炭素(CO)、ネオン(Ne)、ヘリウム(He)、メタン(CH4)、クリプトン(Kr)、水素(H2)、オゾン(O3)などが含まれますが、その量が0.001%以下なので、無視していい大気成分と考えられます。気候変動、地球温暖化、海面上昇、巨大化する台風、地震の頻発、北極・南極の融氷、などなど、諸悪の根源は炭酸ガスと考えられています。それでは大気中のCO2の量はというと、わずか0.03%です。0.03%のCO2が気候変動や地球温暖化の原因である証拠が一体どこにあるのでしょうか。どんなに科学が苦手な人が考えても、大気中の0.03%の成分が地球の環境をまるっきり変えてしまうと考えるには無理があります。46億年前、誕生したばかりの地球の大気は高温・高圧の水蒸気が大部分を占めていましたが、その後、地球が冷え、大気の主成分は二酸化炭素と窒素になりました。二酸化炭素は海に溶けて、その一部がカルシウムイオンと結合し、石灰岩(炭酸カルシウム)として海底に堆積し、二酸化炭素は徐々に減少し、大気の主成分は窒素になりました。およそ27億年前、太陽の光エネルギーを利用して光合成を行うラン藻(シアノバクテリア)が海中に誕生し、二酸化炭素と水から有機物と酸素が生成されるようになると、大気中のCO2はさらに減少し、酸素が増え始めました。その後、生物が進化し陸上に進出し、多様な植物による光合成が活発に行われることで、酸素はさらに増え、大気は数十億年かけて、窒素と酸素を主成分とする現在の組成になりました。大まかに大気成分は窒素が5分の4、酸素が5分の1です。ヒトが呼吸する時、酸素を吸っていると勘違いしている人が多いですが、実は約80%が窒素です。21%の酸素は気管支に入ると、23回分枝した後、終末細気管支の肺胞に到達します。この時の動脈血酸素飽和度がおよそ98〜99%です。これを測定するのに、コロナ禍でパルスオキシメーターが活躍しました。窒素は、ほぼ全量がそのまま呼気から放出されますが、一部はアンモニア(NH3)となり、肝臓の尿素回路を通し、腎臓で排出されます。また一部は尿素窒素(BUN)として血中に残ります。厚さ1μmの肺胞に達した酸素は周囲の毛細血管中の赤血球のヘモグロビンと結合し、酸化ヘモグロビンとして全身の末梢組織に心肺循環を使って送り出されます。末梢組織で役目を終えた酸素は、ほぼ全量が二酸化炭素として静脈血となり、肺から呼気に放出されます。岸田総理が、サウジアラビア、UAE、カタールを歴訪しています。この3か国だけで日本の石油輸入量の8割を占めるからです。サウジアラビアの北西部にスマートシティ「ザ・ライン」が計画中です。長さ170km、幅200mを挟んで両脇に500mの高さのソーラーパネルでできた2つの建物、その間が居住スペースです。時速500kmの鉄道があり、片道20分で到達します。この中で900万人(サウジアラビアの人口の約1/3)が生活する予定です。町は人工知能(AI)が常に監視しています。すべての公共機関まで歩いて5分です。脱炭素時代を見据えた大改革ですが、これを作るのに莫大な天然資源(石油)が必要です。サウジアラビアでなければできません。莫大な天然資源は、使われた後、膨大な量の二酸化炭素を大気中に放出します。脱炭素とは真逆の政策です。
2023.7.19. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友
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