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脱炭素狂騒曲 その2 会場の「動くパビリオン」


 7月20日、2025年の関西万博で、中之島ゲートと夢洲を結ぶ「水素燃料電池船」の計画が大々的に報じられました。全長30m、重さ120トン、最大150人を乗せることができます。中学校の理科の実験で、水に電気を通すことで水素と酸素に分解する「電気分解」を学んだことがあると思いますが、水素燃料電池はその逆で、水素と酸素を化学反応させて水を作り、この過程で発生する電気や熱を使います。いわば「ちいさな発電所」といった感じです。水素を補充すればいくらでも発電できそうですが、その補充先が問題です。水素(H2)は、水、天然ガス、バイオマスからしか補充できません。水から補充するのは真逆の発想なので論外です。万博では「グリーン万博」と銘打って会場で発生する生ごみと二酸化炭素から、都市ガスの主成分であるメタンを合成し、会場内で活用するとしています。それでは最初からメタンガスを使えばいいと思いますが、これを説明します。補充先はバイオマスです。バイオマスには1.廃棄物系バイオマス(廃棄される紙、家畜排泄物、食品廃棄物、建設発生木材、下水汚泥など)、2.未利用バイオマス(稲わら、麦わら、もみ殻など)、3.資源作物(エネルギーや製品の製造を目的に栽培される植物/さとうきびやトウモロコシなど)があります。カーボンニュートラルという言葉があります。「差し引きゼロ」ということですから、大気中にCO2を出さないこと、つまり「化石資源」を使わない」ことを意味します。SAF(持続可能航空燃料)について、「気候変動・脱炭素 14のウソ」(渡辺 正著)から引用します。天然に棲む微生物が、人の手をいっさい借りず、水から飛び出て地面を整地し、工場を建て、電線を引き、培養に必要な設備類のすべてを用意する。施設が完成したら、やはり人の手をいっさい借りず、光照射や水温・養分などの条件を整えた培養タンクに飛び込んだ後、光合成をして育つ。十分に育ったらタンクをでて、自分の体を切り刻み、適当な溶剤にまみれるなどして油分(バイオ燃料)を抽出・精製する。精製された油入りの容器が、ひとりでに飛行場に移動し、航空機のエンジンに入って燃える・・・・・その時、大気中から吸収した分と同量のCO2が大気に戻るため、カーボンニュートラルの一丁上がりというわけです。でも現実には、以上の全部を人間が行い、途中で大量のCO2を排出するに決まっています。・・・・・ちなみにSAFの燃料はどれくらい? 手を変え、品を変えNHKが10回ぐらい流した番組では「数倍」とか「3〜4倍」とか口を濁すのが通例でした。しかし、2022年2月18日の「ニュースウォッチ9」ではJAL・ANAの幹部と一緒に登場したSAFメーカー幹部が「今は1リットル1万円だが、大量生産で安くなる」と発言。現在ジェット燃料の値段は1リットルが100円なので、バイオ燃料はジェット燃料の100倍高いということになります。わかりやすく言うとSAFは天然ガスの100倍、CO2を排出するということです。「人の手」というのは「利権」です。これでは最初から天然ガスを使うほうが、よほど脱酸素政策になります。天然ガスにはメタン、エタン、プロパン、ブタン ペンタンなどが含まれていますが、産地の違いはあれ、90%以上がメタンです。1970年代、石油があと30年で涸渇するとNHKが大々的に放送し、主婦がトイレットペーパーを買いあさりました。これは石油の値段を上げるための石油メジャーの策略でした。石油も天然ガスも地球の地下に堆積した生物の死骸でできたもので、今後数千年なくなることはないでしょう。世界の大気のCO2の濃度は0.03%です。日本の出すCO2はそのうちの2%で、大半が中国とアメリカです。日本で脱炭素政策を行う意味はまったくありません。


2023.7.25. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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