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脱炭素狂騒曲 その23 我が道を行く その2


 2015年、パリ協定が採択された後、2017年4月に経産省が「長期地球温暖化対策プラットフォーム報告書」を発表しています。専門家はもともと、地球温暖化と二酸化炭素CO2の排出には関連がないことを知っていました。しかし官僚はそうはいきません。世界会議で決まったことを無視するわけにはいかないのです。経産省は「2050年までに、温室効果ガスを2013年に対して80%削減」と唱えました。ただし、日本のように真面目に考えている国などどこにもありません。これは大々的に報じた新聞・テレビが悪いのです。夏の暑さをあおって、一般受けする番組を制作しています。この報告書を書いた官僚でさえ、実現不可能とわかっていました。2021年4月、当時の菅首相はアメリカに行ってバイデン大統領と会談しています。その後の気候変動サミットで2030年の排出削減目標を従来の25%減から大幅に下駄を履かせた46%減に引き上げてしまいました。中国は、小渕恵三内閣の親中政策をきっかけに日本からの投資を増やし、それを基礎に大きくGDPを伸ばして行きました。1998年11月には、江沢民国家主席が来日して日本と「日中共同宣言」を発表し、日本は「ハイテク、情報、環境保護、農業、インフラなどの分野での協力を拡大する」ことを約束しました。ここから中国の経済開発への本格的な協力が始まります。中国のGDPが右肩上がりに伸びていきます。現在、世界の粗鋼生産量の56%は中国です。1997年に中国が日本を追い抜きました。日本政府の親中政策でどんどん日本の製造業が中国に移っていったのです。二酸化炭素CO2排出量も中国が世界の30%を占めています。電気・機械産業はすべて中国に持っていかれました。残ったのが自動車産業です。EVのコストは約半分がバッテリーです。そのバッテリーの生産実績は、中国、韓国、日本が寡占しています。欧州はどうやってバッテリーを域内で生産するかに意欲を燃やしています。中国をどうやって世界経済から隔離するか腐心しています。2001年、中国はWTO(世界貿易機関)に加盟していますが、まったくルールを無視しています。中国でクルマを作りたければ、中国資本と合弁企業を作り過半の株式所有を認めること。もちろん海外からのクルマの輸入も禁じています。また、中国で生産するクルマは中国製バッテリーを搭載しなければなりません。そうやって利益の多くが中国に落ちるようにしてきました。有名なものでは「千人計画」があります。世界から先端技術者を引き抜いたり、人民解放軍などに属する国内の俊英を世界の名門大学院に国費留学生として送り込んで、研究用サーバーのアクセス権を取得したりしています。リチウムの生産量は中国が全世界の65%を占めます。電極のグラファイト、ニッケル、コバルト、マンガンなど中国で生産できないものはなにもありません。逆に日本では全く自前で生産できません。日本はそれでも素晴らしい技術の積み重ねがあります。EVはバッテリーの上に人を乗せて走らせます。ちょっとした刺激で発火します。電解液なので消火はできません。燃え尽きるまで待つしかありません。またスマホと同じで、使っても使わなくてバッテリーは消耗します。テスラも中国のEVもよく燃えます。日本製のEVバッテリーはパナソニックですが、燃えたことがありません。これは世界一の日本の誇れる技術です。2020年12月17日、関越道六日町インター付近で、大雪で2000台の車が40時間以上立ち往生しました。ガソリン車であればガソリンを配ればいいですが、EVだとそうはいきません。24時間もすればバッテリーはなくなってしまいます。空調も使えなくなってしまいます。今、世界は脱炭素にむかって突き進んでいますが、いずれは中国の一人勝ちになります。その時日本はどうするかを考えておく必要があります。日本政府は国民に「我が道を行く」指標を示す必要があります。

 


2023.10.19. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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