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脱炭素狂騒曲 その30 南極大陸


 地球が生まれてから46億年、誕生間もない地球に海ができ、その中から陸地が生まれました。南極大陸には39億年前の岩石に含まれている鉱物が見つかるところがある一方で、現在も火山の活動があり、溶岩が噴出しているところもあります。南極大陸は今から約1億8000年前までは、ゴンドワナ大陸と呼ばれる、とても大きな大陸の一部でした。その後、ゴンドワナ大陸が割れて、大陸間に海が広がり、約4000万年前に南極点をほぼ中心とした大陸となりました。周囲の海から運ばれた湿った空気は寒冷な地域である南極大陸に雪を降らせ、それが長期にわたって続いた結果、雪から変化した氷が南極大陸を厚く覆う氷床になりました。ゴンドワナ大陸の時には温暖な時期もあり、様々な植物や動物が生きていました。今でも、南極からそうした化石が発見されています。その中には恐竜の化石もあります。南極大陸が発見されたのは、約200年前のことです。それから100年あまりの間に、南極大陸の各地を発見した国がそれぞれの土地を領土とし、さらに、近づくことが難しい場所でもある南極大陸の研究は進みませんでした。そこで約60年前(1957〜58年)、「国際地球観測年」に、南極を誰でも自由に研究できる地域にしようという提案があり、「南極条約」が誕生しました。北極地域では北極点付近の公海を除いて、すべての地域はどこかの国の領土ですから、自由に出入りすることはできません。しかし、南極は現在では研究のためであれば誰でも自由に行くことができます。4000万年前、地球は温暖湿潤なジュラ期初期を迎えていましたが、南極大陸は他の大陸と比較すると冷涼な気候で、現在のような暗く冷たい冬期が、たびたび到来していました。さらに、現在よりはるかに北に位置していた南極大陸は、地殻変動により徐々に南方へと押しやられて行きました。一番大きな変動は、南極大陸が「一人ぼっち」になってしまったことでした。ずっと陸続きだった南アメリカ大陸やオーストラリア大陸と、離れ離れになったので、これにより、「南極還流」が誕生しました。南極還流は南極の周回する海流で、冷たい海水を南極大陸の周りに閉じ込めて周回させ、暖かな海水を締め出しています。そのため極寒の気候が続いています。当時は 南極大陸だけではなくて、地球全体が寒冷化していました。この時期を「大氷河期」と呼びます。これは二酸化炭素CO2の減少が原因であることが、太古の化石や堆積物の調査からわかっています。深海の炭素を表層に運ぶ海流全体の速度が低下し、炭素はますます深層に留まるようになったので、400万年ほどの時間をかけて地球全体の二酸化炭素CO2を低減させ、地球の気温が低下しました。南極大陸も寒冷化し、大陸の高山に氷河が形成され、それが徐々に渓谷や低地に広がっていきました。氷床は、一旦形成されると、どんどんエスカレートします。氷は光の反射率が非常に強く、日射は氷上で跳ね返され、日光のぬくもりも弾かれてしまいます。氷床が厚くなるにつれて、どんどん標高が高くなります。すると大気が薄く冷たくなり、さらに氷ができて「正の連鎖」となります。氷床はさらなる氷床の成長を呼び、現在の美しい「南極氷床」は、こうして約1,400万年前にできました。大陸の端の氷床が崩れ落ち、巨大な流氷となって海に流れ出ていく映像をテレビでよく見かけますが、南極大陸の氷床は現在ついに平均2,300mになり、地球温暖化が叫ばれる現在も高くなる一方です。

 


2023.11.11. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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