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脱炭素狂騒曲 その34 地球沸騰


 アラブ首長国連邦(UAE)で開かれていたCOP28(国連気候変動会議)が、12月13日に閉会しました。「化石燃料の段階的廃止」は新しく「化石燃料の段階的削減」に変更になりました。すでに地球の平均気温は1.1℃上昇しており、現状の削減目標では平均気温は3.0℃近くになると指摘しています。その上で、30年までに化石燃料から脱却。30年までに再生可能エネルギーの設備容量を3倍にする、温室効果ガスを35年に19年比60%減らすなど、もともと達成不可能な目標が掲げられました。おまけに化石燃料の代替え手段として、初めて「原子力」があげられました。面白かったのは、議長を務めるUAEのスルタン・アル・ジャベル気候変動特使が、産業革命からの気温上昇を1.5℃に抑えることにつながる「科学的根拠はない」と発言したことでした。英ガーディアン紙の11月21日のイベントで、化石燃料の段階的廃止の必要性を問われ、「科学的根拠はない」「世界を洞窟に(住んでいた時代に)戻す」と発言しました。ジャベル氏はUAEの国営石油会社アドノックのCEOもつとめており、つい本音が出てしましました。ドバイから車で1時間あまりの砂漠の真ん中に世界最大級のスワイハン太陽光発電所があります。パネルが330万枚以上、原発1基分に相当する1.2ギガワットの出力があります。こんな設備ができるのも、豊富な天然資源があるからで、発電所を作るのにどれだけの二酸化炭素CO2を出したか想像もできません。もともと15年のパリ協定で掲げた気温上昇の1.5℃目標はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)によるものでした。気候変動に関与する変数は極めて多く、すべての変数を定量化してモデルを組み込むことは不可能です。そのため、IPCCは、過去1300年間の樹木(中緯度)の年輪幅(気温との相関関係)のデータだけを扱いました。それらのデータは年代依存の規則性がないことから、地球の平均気温は過去1300年間一定だったとみなしました。一方、年輪幅以外の各種同位体、花粉学、古気候学などを精査すればもっと精度が上がるはずです。しかし、IPCCはそれを無視し、自分たちが導き出した、過去の気温は一定であるという話に一致するように各種の変数を調整しました。例えば、CO2、CH4、N2、H2Oなどの温暖化ガス、あるいは雲量などの寒冷化の要素を気温が一定になるように操作しました。その上で、過去約130年間の要素のうち変化しているのはCO2濃度だけだから、気温が0.6℃上昇したのはCO2濃度が原因であると説明しました。見かけは、たくさんの要素を入れた複雑な気候モデルに見えますが、中身はいい加減です。過去40万年は、氷期・間氷期が4回繰り返した時代です。氷期から間氷期になると、全球的に海水準は200m上がったことがわかっています。この時の気温は、大気上層(5〜10km上空付近)で雲の凝結ができた時の温度として、全球温度が北極と南極の氷床の酸素同位体からわかります。氷期(1万2千年前)から間氷期(1万年前)に移行した時期の気温は、約8℃上昇したことがわかっています。この気温変化によって、海水準は、海面下200mから現在の海水準、0mまで上昇しました。このデータから1℃当たりの気温上昇は25mの海水準上昇に対応することがわかります。IPCCは、過去130年間の0.6℃の気温上昇で海水準が20cm上昇したと説明していますが、これは地球に残された記録とは全く異なっています。大気中のCO2濃度に関しては、現在の400ppmに対し、白亜紀(8000万年前)は4000ppm、古生代石炭紀(3〜4億年前)は2万ppm、更に6億年前には20万ppmでした。恐竜が出現したのが、2億3000万年前、直立二足歩行の猿人が誕生したのは、300〜400万年前です。しかし、どの時代も地球が金星のように高温化(地球沸騰)して全生物が消滅したという事実はありません。

 


2023.12.16. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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