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脱炭素狂騒曲 その40 CCS


 北海道苫小牧市の海岸沿いに高さ30〜50mほどの3本の塔が立っています。隣の製油所が出すガスからCO2を分離して回収する装置です。回収したCO2は高い圧力をかけ、井戸を通じて海底の地下1000m以下に送り込みます。砂岩などの隙間が多い地層に注入し、その上に泥岩などの地層が「ふた」の役割をします。この施設では2012年度から事業が始まり、これまでに30万トンのCO2を閉じ込めました。政府は「CCSなくして、カーボンニュートラル(脱炭素)なし」と明記。50年時点で年1.2億〜2.4億トンの貯留を目標にしています。現在の排出量の1〜2割に当たります。例えば、約27万世帯分の電力を供給できる火力発電所にCCSを導入した場合、年間340万トンのCO2が削減できます。ただし、問題はそのコストです。この340万トンのCO2回収にかかるコストは、石炭燃焼からの排ガスでは約45.2〜90.4兆円、LNG燃焼からの排ガスでは、約80〜160兆円かかります。これは年間ベースでの話で、実際は操業期間と廃坑後管理の期間である約60年間、このコストがかかり続けることになります。実際に事業化を進めると、最終的なコストは計算結果よりもさらに上振れする可能性があります。国会は、5月17日、CCSの事業環境を整えるための法案を成立させました。試掘、・貯留事業の許可制度を作り、事故時の賠償は、故意や過失がなくても事業者の責任とする、としています。環境省への提出書類を見ると、気が遠くなるような書類の山があり、もしこの事業に手を出す企業があるとすれば、研究者も企業も巨大な利権に動かされているに違いありません。大気組成は、大まかにN2が78.11%、O2が20.96%、アルゴンが0.93%、CO2が0.03%、その他となっています。それぞれ分子量は、28.01、32.00、39.94、44.01です。CO2が一番重く、日本の火力発電所が出すCO2は、ほとんどが地上近くを這い、偏西風に乗って太平洋に出、海に吸収されます。2023年度のCO2排出量の31.2%が中国です。次がアメリカで14.0%、日本は3.1%です。中国やアメリカのCCSは現在、計画中ですが、具体的には何も決まっていません。それは単にコストがかかりすぎるのと、パイプラインなどの設備を作るにあたって火力発電所以上のCO2を排出するからです。日本が一生懸命になるのは、諸外国から「化石賞」を毎年もらっている手前、これだけ頑張っているという姿を諸外国に示すためで、本気になってやっているわけではありません。地球温暖化とCO2が関係ないことは、南極の「氷河コア」が示しています。地球の長い歴史を見れば現在は「間氷期」に当たり、今後数千〜数万年で「氷河期」に突入します。そうなると、地球の北半球は完全に氷におおわれてしまいます。CO2は減らすのではなくて、増やさなければなりません。人類を脅かすような大飢饉は、これまですべて「間氷期」から「氷河期」に入る時に発生しています。世界の総資産を、上位約1%の大企業が握っています。地球が危険な状態にあることを十分承知の上で、自分たちの利益のためだけに、世界中に「脱炭素」のウソを訴えています。これは、今に始まったことではなく、15世紀半ば、ヨーロッパ人が行った大航海時代にさかのぼります。いまだに同じことを繰り返しています。

 


2024.5.26. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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