脱炭素狂騒曲 その42 何もしない
今年は11月下旬から雪が降り、日本海側では12月に入って1mを超える積雪になっています。私の記憶では十数年ぶりの大雪と思いますが、気象庁は、地球温暖化を訴えながら、偏西風の蛇行、大陸の高気圧に南から湿った空気が流れて大雪になった、と苦しい弁解をしています。私がスキーを始めたのは学生時代ですが、大雪の年もあれば、年末年始、雪のない年もありました。夏は海でヨットに乗りますが、二酸化炭素CO2上昇で海面が上昇した気配は全くありません。気象学者の言うように過去100年、温度が1.28度上昇していれば、海面は1m上昇し、日本の砂浜の90%は消失しているはずです。しかし、そうなっていません。11月24日に閉会したCOP29では、先進国は、途上国への支援金「気候資金」を年500億ドル上乗せした3000億円(約45兆円)にすることで決着しました。地球温暖化・脱炭素のウソを作って、自分で自分の首を絞めているようなものです。経済産業省は12月16日、2040年度に発電所を建設した場合、1KW/時の電気を作るための費用を電源別に算出しました。安い順に、事業用太陽光(7.0〜8.9円)、原発(12.5円以上)、陸上風力(13.5〜15.3円)、LNG火力(16.0〜21.0円)となっています。したがって、火力発電をやめて、太陽光、原発、風力を利用しようという試算です。ただし、これには建設費用や維持費は含まれていません。火力発電所の建設費用は14.3万円/KWです。事業用太陽光の建設費用は28.3万円/KW、風力発電の建設費用は、地形や電気系統、道路の状況などによって異なりますが、22万円/1KWです。原発の建設コストは1基あたり1〜2兆円程度と言われていますが、KW時に換算すると100万円かかります。維持コストは、原価償却費や人件費、固定資産税など合わせると1億5000万円かかります。この理由は再生可能エネルギー(太陽光・風力・原発など)の建設の大半は化石資源に頼っているからです。太陽光パネルに使うシリコンも、風力の羽も、原発で網の目のように張り巡らされた膨大な数のパイプもすべて化石資源由来です。最近、水素自動車や水素を燃料とした船舶がよく話題になりますが、水素の原料はメタンです。これも石油がなければできません。水素自動車1台を作るのに、ガソリン車の4〜7倍の費用がかかります。研究者はとてもやりがいのある仕事かもしれませんが、非現実的で一般大衆が買えるような値段にはなりません。ビッグバンによる宇宙が誕生して138億年、地球が誕生して46億年、生命が誕生して35億年です。エネルギーは、電気や光、動力に姿を変えながら、生成も消滅もせず、この間の宇宙の総エネルギー量は一定です。したがって、再生可能エネルギーなど存在しないのです。熱力学第二法則(エントロピー増大の法則)によれば、現在の太陽光発電、風力発電、原発、二酸化炭素CO2を回収して地中に貯留するCCSなどは、まったく真逆の発想です。地球環境は人知の手の届かないところで、変化しています。もし、1991年、フィリピンのピナツボ火山の噴火がなければ、地球温暖化は30年先に進んでいたでしょう(実際は地球全体で0.4℃低下)。都市化の影響で都会の夏は暑いですが、これはただのヒートアイランド現象です。日本の人口は徐々に減少し、いずれ二酸化炭素CO2も減少に転じます。では、私たちは一体全体どうすればいいのでしょうか? 答えは「何もしない」です。
2024.12.23. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友
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